JAJSO75 November 2023 MCF8329A
PRODUCTION DATA
PMSM モータは、基本速度以下の定トルク領域 (通常定格速度) だけでなく、基本速度以上の定電力領域でも動作できますが、電流および電圧制限に応じて基本速度は変化することがあります。モーターの定格速度を超えて速度を上げるため、MCF8329A はフラックス減衰制御機能を備えています。フラックス減衰は、FLUX_WEAKENING_EN に 1b を設定することで有効化できます。フラックス減衰制御では、図 7-34 に示す PI 制御ループを使用して Idref を生成します。フラックス減衰ループの Kp および Ki 係数は FLUX_WEAKENING_KP と FLUX_WEAKENING_KI によって設定されます。
フラックス減衰電流リファレンス (Id_FW) の絶対最大値は、FLUX_WEAKENING_CURRENT_RATIO を設定することで、ILIMIT のパーセンテージとして制限できます。FLUX_WEAKENING_CURRENT_RATIO = 0b の場合、循環制限のみが適用されます。この場合、iq2 + id2 は ILIMIT に制限されます。Id_FW の絶対値が増加すると、循環制限を満たすため、iq は減少します。
ユーザーは、その値以下ではフラックス減衰が無効化され、かつ Id_FW がゼロになる変調インデックス リファレンス Vs_ref (式 11 を参照) を設定できます。この設定はビット FLUX_WEAKENING_REF ERENCE で利用できます。
Idref は、ゼロまたは、フラックス減衰の id リファレンスと MTPA の id リファレンスの小さい方となります。変数 FLUX_MODE_REFERENCE は揮発性メモリ (RAM) 内で利用でき、ゼロ以外の値で Id_FW と Id_MTPA を上書きできます。