JAJSO67 january 2023 MCT8329A
PRODUCTION DATA
MCT8329A は、モーター速度ではなく (入力) 電力を制御する機能を備えています。この入力電力レギュレーションは 2 つのモード (閉ループ電力制御、電力制限制御) で実行できます。CLOSED_LOOP_MODE を 10b に設定することで、(モーター速度ではなく) 入力電力レギュレーション・モードが選択されます。その際に、閉ループ電力制御の場合は CONST_POWER_MODE を 01b に、電力制限制御の場合は 10b に設定する必要があります。どちらの電力レギュレーション・モードでも、MCT8329A が DC 入力電源から引き出せる最大電力は、MAX_POWER (電源リファレンス、図 7-29 の POWER_REF) によって設定されます。
REF_PROFILE_CONFIG = 0b の場合、POWER_REF はデューティ・コマンド入力 (DUTY CMD) と最大電力 (MAX_POWER によって設定) から (式 10 を参照)、または入力プロファイラ出力から導かれます (セクション 7.3.7.5 を参照)。電源リファレンスのヒステリシス・バンドは CONST_POWER_LIMIT_HYST によって設定されます。どちらの電力レギュレーション・モードでも、電力リファレンスの最小値は MIN_DUTY x MAX_POWER によって設定されます。
どちらの電力レギュレーション・モードでも、MCT8329A は、速度ループ・モードで使うものと同じ PI コントローラ・パラメータを使います。Kp 係数と Ki 係数は SPD_POWER_KP と SPD_POWER_KI によって設定されます。PI コントローラの出力の飽和の上限値 (VMAX) と下限値 (VMIN) はそれぞれ SPD_POWER_V_MAX と SPD_POWER_V_MIN によって設定されます。閉ループ電力制御と電力制限制御の主な違いは、FET に印加される DUTY OUT (PWM のデューティ・サイクル) を PI コントローラが決定する条件です。閉ループ電力制御では、DUTY OUT は常に PI コントローラ出力からの POWER_PI_OUT (図 7-29) と等しくなります。しかし、電力制限制御では、POWER_MEAS > POWER_REF + CONST_POWER_LIMIT_HYST の場合にのみ、PI コントローラは DUTY OUT を決定します。POWER_MEAS < POWER_REF + CONST_POWER_LIMIT_HYST の場合、PI コントローラは使用されず、DUTY OUT は DUTY CMD と等しくなります。基本的に、閉ループ電力制御では、入力電力は常に POWER_REF に対して能動的にレギュレートされますが、電力制限制御では、入力電力は POWER_REF に制限されるのみであり、POWER_REF 対して能動的にレギュレートされることはありません。電力 PI ループの出力が飽和すると、積分器ワインドアップを防止するため、積分器が無効化されます。