TLC6C598-Q1は、モノリシックで中程度の電圧、低電流出力の8ビット・シフト・レジスタで、LEDなど、比較的中程度の負荷電力を必要とするシステムで使用するよう設計されています。
このデバイスには、8ビットのシリアル・イン、パラレル・アウトのシフト・レジスタが内蔵されており、8ビットのDタイプ・ストレージ・レジスタへデータを供給します。データはシフト・レジスタとストレージ・レジスタを経由して、それぞれシフト・レジスタ・クロック(SRCK)とレジスタ・クロック(RCK)の立ち上がりエッジで転送されます。ストレージ・レジスタは、シフト・レジスタ・クリア(CLR)がHIGHのとき、出力バッファへデータを転送します。CLRがLOWになると、デバイス内のすべてのレジスタがクリアされます。出力イネーブル(G)をHIGHに保持すると、出力バッファのすべてのデータがLOWに保持され、すべてのドレイン出力がオフになります。GをLOWに保持すると、ストレージ・レジスタのデータが出力バッファへ透過的になります。出力バッファのデータがLOWのとき、DMOSトランジスタの出力がオフになります。データがHIGHのとき、DMOSトランジスタ出力はシンク電流能力を持つようになります。シリアル出力(SER OUT)は、SRCKの立ち下がりエッジでデバイスからクロック出力され、カスケード接続されたアプリケーション用に追加のホールド時間を与えます。これによって、クロック信号のスキューの可能性がある、デバイスが互いに接近して配置されていない、またはシステムに電磁気干渉への耐性が必要なアプリケーションのパフォーマンスが向上します。デバイスには、サーマル・シャットダウン保護機能が組み込まれています。
型番 | パッケージ | 本体サイズ(公称) |
---|---|---|
TLC6C598-Q1 | SOIC (16) | 9.90mm×3.91mm |
TSSOP (16) | 5.00mm×4.40mm |
Changes from B Revision (March 2013) to C Revision
出力はローサイドのオープン・ドレインDMOSトランジスタで、Vcc = 5Vのとき、出力定格は連続的なシンク電流で40Vおよび 50mAの能力があります。デバイス保護を強化するため、接合部温度が上昇すると、電流制限が減少します。また、デバイスは人体モデルを使用したテストで 2000V、マシン・モデルを使用したテストで200VのESD保護を実現しています。
TLC6C598-Q1の特性は、-40℃~125℃の動作時周辺温度範囲での動作についてのものです。
ピン | I/O | 説明 | |
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名前 | 番号 | ||
CLR | 7 | I | シフト・レジスタのクリア、アクティブLOW。ストレージ・レジスタは、CLRがHIGHのとき、出力バッファへデータを転送します。CLRをLOWへ駆動すると、デバイスのすべてのレジスタがクリアされます。 |
DRAIN0 | 3 | O | オープン・ドレイン出力、LED電流シンク・チャネル、LEDカソードへ接続 |
DRAIN1 | 4 | O | オープン・ドレイン出力、LED電流シンク・チャネル、LEDカソードへ接続 |
DRAIN2 | 5 | O | オープン・ドレイン出力、LED電流シンク・チャネル、LEDカソードへ接続 |
DRAIN3 | 6 | O | オープン・ドレイン出力、LED電流シンク・チャネル、LEDカソードへ接続 |
DRAIN4 | 11 | O | オープン・ドレイン出力、LED電流シンク・チャネル、LEDカソードへ接続 |
DRAIN5 | 12 | O | オープン・ドレイン出力、LED電流シンク・チャネル、LEDカソードへ接続 |
DRAIN6 | 13 | O | オープン・ドレイン出力、LED電流シンク・チャネル、LEDカソードへ接続 |
DRAIN7 | 14 | O | オープン・ドレイン出力、LED電流シンク・チャネル、LEDカソードへ接続 |
G | 8 | I | 出力イネーブル、アクティブLOW。LEDチャネルのイネーブル/ディセーブル入力ピン。GをLOWにすると、出力ラッチ・レジスタの状態に従い、すべてのドレイン・チャネルがイネーブルになります。HIGHにすると、すべてのチャネルがオフになります。 |
GND | 16 | — | 電力グランドで、デバイスのグランド・リファレンス・ピンです。このピンは、PCBのグランド・プレーンに接続する必要があります。 |
RCK | 10 | I | レジスタ・クロック。シフト・レジスタの各ステージのデータは、RCKの立ち上がりエッジでストレージ・レジスタへ転送されます。 |
SER IN | 2 | I | シリアル・データ入力。SER INのデータは、SRCKの立ち上がりエッジごとに、内部レジスタへロードされます。 |
SER OUT | 9 | O | 8ビットのシリアル・シフト・レジスタのシリアル・データ出力。このピンの目的は、シリアル・バスに複数のデバイスをカスケード接続することです。 |
SRCK | 15 | I | シリアル・クロック入力。SRCKの各立ち上がりエッジごとに、データがSER INから内部のシリアル・シフト・レジスタへ転送されます。 |
VCC | 1 | I | デバイスの電源ピン。TIは、このピンの近くに 0.1μFのセラミック・コンデンサを追加することをお勧めします。 |
MIN | MAX | UNIT | ||
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VCC | ロジック電源電圧 | –0.3 | 8 | V |
VI | ロジック入力電圧範囲 | –0.3 | 8 | V |
VDS | 電力DMOSのドレイン-ソース間電圧 | –0.3 | 42 | V |
連続合計損失 | 熱特性についてを参照 | |||
TA | 動作時周囲温度 | –40 | 125 | °C |
TJ | Operating junction temperature range | –40 | 150 | °C |
Tstg | 保管温度範囲 | –55 | 165 | °C |
VALUE | UNIT | ||||
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V(ESD) | Electrostatic discharge | Human body model (HBM), per AEC Q100-002(1) | ±2000 | V | |
Charged device model (CDM), per AEC Q100-011 | すべてのピン | ±750 | |||
Corner pins (1, 8, 9, and 16) | ±750 |
MIN | MAX | 単位 | ||
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VCC | 電源電圧 | 3 | 5.5 | V |
VIH | HIGHレベルの入力電圧 | 2.4 | V | |
VIL | LOWレベルの入力電圧 | 0.7 | V | |
TA | Operating ambient temperature | –40 | 125 | °C |
THERMAL METRIC(1) | TLC6C598-Q1 | 単位 | ||
---|---|---|---|---|
PW (TSSOP) | D (SOIC) | |||
16ピン | 16 PINS | |||
RθJA | Junction-to-ambient thermal resistance | 129.4 | 100 | °C/W |
RθJC(top) | Junction-to-case (top) thermal resistance | 55.4 | 45 | °C/W |
RθJB | Junction-to-board thermal resistance | 65.8 | 40 | °C/W |
ψJT | Junction-to-top characterization parameter | 9.9 | 10 | °C/W |
ψJB | Junction-to-board characterization parameter | 65.2 | 40 | °C/W |
RθJC(bot) | Junction-to-case (bottom) thermal resistance | 該当なし | 該当なし | ℃/W |
PARAMETER | TEST CONDITIONS | MIN | TYP | MAX | UNIT | ||
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DRAIN0 to DRAIN7. Drain-to-source voltage | 40 | V | |||||
VOH | High-level output voltage, SER OUT | IOH = –20 μA | VCC = 5 V | 4.9 | 4.99 | V | |
IOH = −4 mA | 4.5 | 4.69 | V | ||||
VOL | Low-level output voltage, SER OUT | IOH = 20 μA | VCC = 5 V | 0.001 | 0.01 | V | |
IOH = 4 mA | 0.25 | 0.4 | V | ||||
IIH | High-level input current | VCC = 5 V, VI = VCC | 0.2 | μA | |||
IIL | Low-level input current | VCC = 5 V, VI = 0 | –0.2 | μA | |||
ICC | Logic supply current | VCC = 5 V, no clock signal | All outputs off | 0.1 | 1 | μA | |
All outputs on | 88 | 160 | |||||
ICC(FRQ) | Logic supply current at frequency | fSRCK = 5 MHz, CL = 30 pF | All outputs on | 200 | μA | ||
IDSX | Off-state drain current | VDS = 30 V | VCC = 5 V | 0.1 | μA | ||
VDS = 30 V, TC = 125°C | VCC = 5 V | 0.15 | 0.3 | ||||
rDS(on) | Static drain-source on-state resistance | ID = 20 mA, VCC = 5 V, TA = 25°C, Single channel ON |
6 | 7.41 | 8.6 | Ω | |
ID = 20 mA, VCC = 5 V, TA = 25°C, All channels ON |
6.7 | 8.3 | 9.6 | ||||
ID = 20 mA, VCC = 3.3 V, TA = 25°C, Single channel ON |
7.9 | 9.34 | 11.2 | ||||
ID = 20 mA, VCC = 3.3 V, TA = 25°C, All channels ON |
8.7 | 10.25 | 12.3 | ||||
ID = 20 mA, VCC = 5 V, TA = 125°C, Single channel ON |
9.1 | 11.13 | 12.9 | ||||
ID = 20 mA, VCC = 5 V, TA = 125°C, All channels ON |
10.3 | 12.28 | 14.5 | ||||
ID = 20 mA, VCC = 3.3 V, TA = 125°C, Single channel ON |
11.6 | 13.69 | 16.4 | ||||
ID = 20 mA, VCC = 3.3 V, TA = 125°C, All channels ON |
12.8 | 14.89 | 18.2 | ||||
TSHUTDOWN | Thermal shutdown trip point | 150 | 175 | 200 | ºC | ||
Thys | Hysteresis | 15 | ºC |
MIN | NOM | MAX | UNIT | ||
---|---|---|---|---|---|
tsu | セットアップ時間、SRCK↑前のSER IN HIGH | 15 | ns | ||
th | ホールド時間、SRCK↑後のSER IN HIGH | 15 | ns | ||
tw | SER INのパルス幅 | 40 | ns |
PARAMETER | TEST CONDITIONS | MIN | TYP | MAX | UNIT | |
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tPLH | 伝搬遅延時間、Gからの出力がLOWレベルからHIGHレベルへ | CL = 30pF、ID = 48mA | 220 | ns | ||
tPHL | 伝搬遅延時間、Gからの出力がHIGHレベルからLOWレベルへ | 75 | ns | |||
tr | 立ち上がり時間、ドレイン出力 | 210 | ns | |||
tf | 立ち下がり時間、ドレイン出力 | 128 | ns | |||
tpd | 伝搬遅延時間、SRCK↓からSER OUTへ | CL = 30pF、ID = 48mA | 49.4 | ns | ||
tor | SER OUTの立ち上がり時間(10%から90%まで) | CL = 30pF | 20 | ns | ||
tof | SER OUTの立ち下がり時間(90%から10%まで) | CL = 30pF | 20 | ns | ||
f(SRCK) | シリアルクロック周波数 | CL = 30pF、ID = 20mA | 10 | MHz | ||
tSRCK_WH | SRCKパルス幅、HIGH | 30 | ns | |||
tSRCK_WL | SRCKパルス幅、LOW | 30 | ns |
SER INからSER OUTへの波形を、Figure 1に示します。出力信号は、シフト・レジスタ・クロック(SRCK)の立ち下がりエッジで現れます。これは、SER OUTに位相インバータが存在するためです(Figure 13を参照)。その結果、データがSER INからSER OUTへ転送されるにはSRCKの7.5周期分の時間が必要です。
スイッチング時間と電圧波形を、Figure 2に示します。これらすべてのパラメータのテストは、Figure 11に示すテスト回路を使用して行われました。
TLC6C598-Q1デバイスは、モノリシックで中程度の電圧、低電流の8ビット・シフト・レジスタで、比較的中程度の負荷電力を必要とするLEDなどを駆動するよう設計されています。このデバイスには、8ビットのシリアル・イン、パラレル・アウトのシフト・レジスタが内蔵されており、8ビットのDタイプ・ストレージ・レジスタへデータを供給します。デバイスには、サーマル・シャットダウン保護機能も組み込まれています。
デバイスには、接合部の温度が175℃ (代表値)を超えた場合に自身を保護するため、内部的なサーマル・シャットダウン機能が実装されています。接合部温度がサーマル・トリップのスレッショルドを超えると、サーマル・シャットダウンにより、デバイスは強制的にオープン状態になります。接合部温度が 160℃ (代表値)未満に低下すると、デバイスは再度動作を開始します。
TLC6C598-Q1デバイスには8ビットのシリアル・イン、パラレル・アウトのシフト・レジスタが搭載されており、8ビットのDタイプ・ストレージ・レジスタへデータを供給します。シフト・レジスタとストレージ・レジスタを経由するデータ転送は、それぞれシフト・レジスタ・クロック(SRCK)とレジスタ・クロック(RCK)の立ち上がりエッジで行われます。ストレージ・レジスタは、シフト・レジスタ・クリア(CLR)がHIGHのとき、出力バッファへデータを転送します。
CLRのロジックがLOWになると、デバイスのすべてのレジスタがクリアされます。TIは、電源オン時または初期化時にデバイスのクリアをお勧めします。
DRAIN0~DRAIN7。これらのピンは、40VまでのLED電源電圧に耐えられます。これは、車載のロード・ダンプ状況で非常に役立ちます。
RCKはストレージ・レジスタ・クロックです。ストレージ・レジスタのデータは、出力イネーブル(G)入力信号がHIGHのとき、常に出力に現れます。
SER OUTピンを、シリアル・バス上でカスケード接続する次のデバイスのSER IN入力へ接続すると、データはSRCKの立ち下がりエッジで次のデバイスへ転送されます。これによって、2番目のデバイスがSRCKの同じ立ち上がりエッジで、SRCKとデータ入力の両方を受信する問題を回避できるため、カスケードされたアプリケーションの信頼性を向上できます。
出力イネーブル(G)をHIGHに保持すると、出力バッファのすべてのデータがLOWに保持され、すべてのドレイン出力がオフになります。GをLOWに保持すると、ストレージ・レジスタのデータが出力バッファへ透過的になります。出力バッファのデータがLOWのとき、DMOSトランジスタの出力がオフになります。データがHIGHのとき、DMOSトランジスタ出力はシンク電流能力を持ちます。このピンは、グローバルPWM調光にも使用できます。
このデバイスは、3V ≤ VCC ≤ 5.5Vの範囲で通常に動作します。動作電圧が3V未満のとき、通信インターフェイスや電流容量も含めて、デバイスの正しい動作は保証されません。
このデバイスは、この電圧範囲で通常に動作しますが、この電圧範囲で長時間動作すると信頼性の問題が発生する可能性があります。
NOTE
以降のアプリケーション情報は、TIの製品仕様に含まれるものではなく、TIではその正確性または完全性を保証いたしません。個々の目的に対する製品の適合性については、お客様の責任で判断していただくことになります。お客様は自身の設計実装を検証しテストすることで、システムの機能を確認する必要があります。
TLC6C598-Q1デバイスはシリアル・イン、パラレル・アウト、電力およびロジックの8ビット・シフト・レジスタで、VCC = 5Vのとき、ローサイドのオープン・ドレインDMOS出力定格は、40Vおよび50mAの連続シンク電流能力です。このデバイスは抵抗性負荷を駆動するよう設計されており、マイクロコントローラとLEDやランプとの間のインターフェイスとして特に適しています。また、デバイスは人体モデルを使用したテストで 2000V、マシン・モデルを使用したテストで 200VのESD保護を実現しています。
2つのTLC6C598-Q1チップをカスケード・トポロジに構成した代表的なカスケード・アプリケーション回路を、Figure 14に示します。すべての入力信号はMCUが生成します。
設計パラメータ | 例での値 |
---|---|
VBattery | 9V~40V |
VCC_1 | 3.3V |
I(D0)、I(D1)、I(D2)、I(D3)、I(D4)、I(D5)、I(D6)、I(D7) | 30mA |
VCC_2 | 5V |
I(D8)、I(D9)、I(D10)、I(D11)、I(D12)、I(D13)、I(D14)、I(D15) | 50mA |
設計プロセスを開始するには、いくつかのパラメータを決定する必要があります。
これらのパラメータを決定すると、次の数式を使用して、LEDと直列の抵抗を計算できます。
TLC6C598-Q1デバイスは、3V~5.5Vの入力電源電圧範囲で動作するよう設計されています。この入力電圧には適切なレギュレーションが行われる必要があります。TIは、VCCピンの近くにセラミックのバイパス・コンデンサの配置をお勧めします。