JAJSL48 July 2021 TMCS1108-Q1
PRODUCTION DATA
TMCS1108-Q1 の信号チェーンには、高精度アナログ・フロント・エンドと、それに続くサンプリングされる積分器が含まれています。各積分サイクルの終了時に、信号は出力に伝播されます。サンプリング時間に対する入力電流の変化の編成によっては、2 番目の積分サイクルまで出力が最終信号に対して安定しない場合があります。10kHz の正弦波入力電流に対する標準的な応答の出力波形を、図 9-6 に示します。入力電流信号がゆっくり変化する場合、出力は積分サンプリング時間の位相遅延を持つ離散時間表現になります。100kHz の 1 次フィルタを追加すると、位相応答への影響を最小限に抑えながら、出力波形を効果的に平滑化できます。
図 9-7 に示すのは、1 つの入力電流のステップ・イベントに対して 2 つの過渡波形が、サンプリング周期内で異なる時間に発生した例です。どちらの場合も、出力が完全に遷移して最終的な値に達するまでには 2 つのサンプリング周期が必要です。サンプリング時間を基準とする電流イベントのタイミングによって、1 番目と 2 番目のサンプリング周期の比例振幅が決まります。
出力値は実質的に、サンプリング時間全体の平均値です。したがって、十分に大きな電流過渡があれば、最初のサンプル応答で出力電圧をフルスケール範囲に近い値まで駆動できます。短絡またはフォルト・イベントが発生した場合、この条件が成立する可能性が高くなります。入力電流ステップがフルスケール測定可能範囲の 2 倍で、2 つの出力電圧応答によりサンプリング時間の効果を示している例が、図 9-8 です。入力電流遷移の相対タイミングと大きさによって、最初の出力遷移の時間と振幅の両方が決まります。どちらの場合も、合計応答時間は 1 積分期間よりもわずかに長くなります。