JAJSI02D October 2019 – November 2020 TMP63
PRODUCTION DATA
既存のサーミスタは、一般に、非線形の温度対抵抗曲線を示します。サーミスタの応答を線形化するには、分圧器構成による電圧線形化回路、またはサーミスタと並列にもう 1 つの抵抗 RP を接続した抵抗線形化回路を使用します。Topic Link Label9.2.1 では、RT をサーミスタ抵抗とする実装例を 2 つ取り上げています。目的の電圧応答 (負または正) に応じてサーミスタの両端に出力電圧を生成させる方法としては、ハイサイド (電源側) またはローサイド (グランド側) にサーミスタを配置した分圧回路が使用できます。また、高精度の電流源を使用してサーミスタを直接バイアスする (もっとも高い精度と電圧ゲインが得られる) 方法もあります。実装が簡単で低コストであることから、サーミスタを使用した分圧器を使用するのが一般的です。TMP63 の抵抗値は、線形で正の温度係数 (PTC) を持つので、その両端で測定される電圧は、温度とともに線形的に増加します。これにより、従来の線形化回路が不要となり、単純な電流源または分圧器回路を使用するだけで、温度に対応した電圧を生成できます。
この出力電圧は、より広い範囲の温度を監視するために ADC に直接接続できるほか、アクティブ帰還制御回路の帰還入力としても使用されます。またこの出力電圧を、コンパレータを使用して基準電圧と比較し、温度トリップ・ポイントをトリガすることもできます。
Equation2 に示されているデバイス両端の電圧は、ルックアップ・テーブル方式 (LUT) または近似多項式 V(T) を使用して温度に変換できます。サーミスタ設計ツール は、Vtemp を温度に変換するために使用します。温度電圧は、まず ADC を使用してデジタル化される必要があります。この ADC に必要とされる分解能は、採用するバイアス方式に依存します。また、もっとも高い精度を得るため、バイアス電圧 (VBIAS) を ADC の基準電圧に接続して測定を行います。この場合には、バイアス電圧の誤差と基準電圧の誤差を相殺することができます。ローパス・フィルタを内蔵して、システム・レベルのノイズを除去するといった応用もできます。この場合、フィルタは ADC 入力にできるだけ近付けて配置します。