JAJS324C February 2008 – October 2023 TPS2550 , TPS2551
PRODUCTION DATA
過電流スレッショルドは、外付け抵抗を使って設定できます。多くのアプリケーションでは、特定の値を下回る電流に対して電流制限が行われない、または特定の値を必ず下回るように電流が制限される必要があるため、RILIM の値を選択する際に過電流スレッショルドの許容誤差を考慮することが重要です。以下の式と図 9-1 を使うと、特定の外付け抵抗値 ®ILIM によって設定される過電流スレッショルドを計算できます。図 9-1 には、温度とプロセスによって生じる変動に起因する電流制限の許容誤差が含まれます。電流制限の精度に対する寄生素子の影響を低減するため、RILIM 抵抗を TPS2550/51 に配線するパターンは、できるだけ短くします。
本デバイスは 2 つの重要な電流制限スレッショルドを持っており、それらの関係を図 8-3 に示します。第 1 のスレッショルドは短絡電流スレッショルド IOS です。IOS とは、出力が短絡された状態で本デバイスが有効化された場合、または通常動作中に出力が短絡された場合に、負荷に供給される電流です。第 2 のスレッショルドは過電流スレッショルド IOC です。IOC とは、本デバイスが電流制限を開始する前に、負荷に供給できるピーク DC 電流です。負荷の変化や低速な過渡がよく発生するアプリケーションの場合、IOC は重要です。RILIM を選択するにあたって、IOS と IOC の両方を考慮することが重要です。RILIM は、1) その値を上回る電流分が制限される電流制限の下限、または 2) その値を必ず下回るように電流が制限される過電流スレッショルドが得られるように選択できます。
電流制限の下限 (その値を上回る電流分が制限される) を設計するには、IOS(min) 曲線上の最大負荷電流の目標値と RILIM との交点を求め、それを下回る RILIM 値を選択します。全負荷または重い容量性負荷を接続した状態で確実に起動させる上で、電流制限の下限 (その値を上回る電流分が制限される) の設定が重要です。その結果として得られる最大 DC 負荷電流は、選択された RILIM 値と IOC(max) 曲線との交点です。
最大 DC 電流レベルを下回るように設計するには、IOC(max) 曲線上の最大負荷電流の目標値と RILIM との交点を求め、それを上回る RILIM 値を選択します。上流の電源の電流制限が入力電圧バスのドループの原因にならないようにする上で、過電流スレッショルド (その値を必ず下回るように電流が制限される) の設定が重要です。その結果として得られる短絡電流の最小値は、選択された RILIM 値と IOS(min) 曲線との交点です。
過電流スレッショルドの式 (IOC):
短絡電流の式 (IOS):
ここで、14.3kΩ≦RILIM≦80.6kΩ。グラフを分かりやすくするため、IOS(typ) と IOS(max) はプロットしていません。