UCC21330 の性能を適切に引き出すには、PCB レイアウトに細心の注意を払う必要があります。以下にその要点を示します。
部品の配置:
- 外付けパワー・トランジスタをターンオンさせる際の大きなピーク電流に対応するため、VCCI ピンと GND ピンの間と VDD ピンと VSS ピンの間に低 ESR かつ低 ESL のコンデンサを本デバイスに近接して接続する必要があります。
- スイッチ・ノード VSSA (HS) ピンでの大きな負の過渡を防止するため、上側トランジスタのソースと下側トランジスタのソースとの間の寄生インダクタンスを最小限に抑える必要があります。
- デッド タイム設定抵抗 (RDT) とそのバイパス コンデンサは、UCC21330 の DT ピンの近くに配置することを推奨します。
- 離れた場所にあるマイクロコントローラに接続する場合、DIS ピンの近くに配置した約 1nF の低 ESR/ESL コンデンサ (CDIS) を使ってバイパスすることを推奨します。
接地に関する注意事項:
- トランジスタのゲートを充放電する大きなピーク電流を、最小限の物理的面積内にとどめることは不可欠です。そうすることで、ループのインダクタンスが小さくなり、トランジスタのゲート端子のノイズが最小限に抑えられます。ゲート・ドライバは、トランジスタのできるだけ近くに配置する必要があります。
- ブートストラップ・コンデンサ、ブートストラップ・ダイオード、VSSB に対するローカル・バイパス・コンデンサ、ローサイド・トランジスタのボディ / 逆並列ダイオードを含む大電流経路に注意を払います。ブートストラップ・コンデンサは、VDD バイパス・コンデンサによってブートストラップ・ダイオードを通してサイクルごとに再充電されます。この再充電は短い時間間隔で行われ、大きなピーク電流を必要とします。回路基板上のループの長さと面積を最小化することは、動作の信頼性を確保する上で重要です。
高電圧に関する注意事項:
- 1 次側と 2 次側の間の絶縁性能を確保するため、ドライバ・デバイスの下には PCB パターンも銅箔も配置しないようにします。UCC21330 の絶縁性能を低下させるおそれがある汚染を防止するため、PCB カットアウトを推奨します。
- チャネル A とチャネル B のドライバが最大 1500VDC の DC リンク電圧で動作できるハーフ ブリッジまたはハイサイド / ローサイド構成の場合、ハイサイド PCB トレースとローサイド PCB トレースの間の PCB レイアウトの沿面距離ができるだけ長くなるようにします。
熱に関する注意事項:
- 駆動電圧が高い、負荷が重い、スイッチング周波数が高い、のいずれかの場合、UCC21330 は大きな電力を消費する可能性があります (詳細についてはセクション 8.2.2.5 を参照)。適切な PCB レイアウトは、デバイスから PCB に熱を放散し、接合部から基板への熱インピーダンス (θJB) を最小化するのに役立ちます。
- VDDA、VDDB、VSSA、VSSB ピンに接続する PCB 銅箔の面積を増やし、VSSA、VSSB との接続を優先して最大化することを推奨します (図 10-2 と図 10-3 を参照)。しかし、上述の高電圧 PCB に関する注意事項は守る必要があります。
- システムに複数の層が存在する場合、VDDA、VDDB、VSSA、VSSB ピンを内部グランドまたは電源プレーンに適切なサイズの複数のビアで接続することも推奨します。ただし、異なる高電圧プレーンのパターン / 銅箔が重なることがないように注意します。