JAJSDZ3 October 2017 UCC256304
PRODUCTION DATA.
UCC256304は、新しい制御方式であるハイブリッドヒステリシス制御(HHC)を採用して、クラス最高の入力電圧/負荷過渡応答を実現しています。この制御方式により、位相の補償を非常に設計しやすくなります。また、軽負荷管理もより簡単に効率よく行うことができます。入力電圧過渡応答特性の向上により、バルク容量/出力容量の値を低減し、システム・コストを削減できます。
HHCは、従来の周波数制御と電荷制御を組み合わせた制御方式であり、いわば周波数補償ランプを追加した電荷制御です。従来の周波数制御に比べて、電力段の伝達関数が2次系から1次系に変わるため、補償が非常に簡単です。この制御動作は入力電流に直接関係するため、入力電圧/負荷過渡応答はクラス最高のものとなります。電荷制御に比べて、ハイブリッドヒステリシス制御では、周波数補償ランプが追加されることにより、不安定な状態を回避できます。この周波数補償により、システムは常時安定し、出力インピーダンスも低減します。出力インピーダンスが低いため、電荷制御に比べて過渡応答性能は向上します。
要約すると、HHCによって解決される問題は次のとおりです。
Figure 28 にUCC256304におけるHHCの実装―分圧容量(C1およびC2)と2つの整合する制御電流源を示します。
共振容量電圧は、C1およびC2からなる分圧容量によって分割されます。電流源はゲート・ドライブ信号によって制御されます。1次側スイッチがオンのときには、1次電流源をオンして、定電流を分圧容量に注入し、2次側スイッチがオンのときには、2次電流源をオンして、同量の定電流を分圧容量から引き出します。この2つの電流源が、三角波形を形成する補償ランプをVCRに追加します。電流源は、基準電圧Vrefにより供給されます。この電圧は同相電圧VCMの2倍に等しいか、それを上回る必要があります。分割された共振容量電圧と補償ランプ電圧が、その後合わさってVCR電圧が得られます。周波数補償ランプが大半を占めれば、VCR電圧は三角波のように見え、制御は直接周波数制御と同様になります。共振容量電圧が大半を占めれば、VCR電圧の形状は実際の共振容量電圧のように見え、制御は電荷制御と同様になります。このため、この制御方式は「ハイブリッド」と呼ばれ、補償ランプは周波数補償と呼ばれています。
このセットアップには固有の負帰還があり、1次側と2次側を定時でバランスをとり、またVCRの同相電圧をVCMに維持できます。
この新しい制御方式には、VCRとVCOMPという2つの入力信号が必要です。VCRは、スケールダウンしたバージョンの共振容量電圧と周波数補償ランプの和です。VCOMPは電圧ループ補償出力です。以下の波形は、VCRおよびVCOMPに基づく1次側および2次側スイッチの制御を示しています。VCRの同相電圧はVCMです。
VCOMPとVCM (3V)に基づき、VthhとVthlという2つの閾値が作成されます。
VCR電圧をこの2つの閾値と比較します。VCR>Vthhであれば1次側スイッチをターンオフし、VCR<Vthlであれば2次側スイッチをターンオフします。HOおよびLOのオン・エッジは、アダプティブデッドタイム回路により制御されます。