JAJA562B February   2018  – September 2024 ADS8900B , OPA320 , TPS7A39

 

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LDO 入力 LDO 出力 出力ノイズ レベル
Vin+ > 6V 5.2 V 27µVRMS
Vin– < –5V -200 mV 22µVRMS

設計の説明

この設計は、1つの電源から正のオペアンプ電源と小さい負のオペアンプ電源を生成できる回路を示しています。この小さい負電圧は可変であり、GND まで線形性を確保するために多くのオペアンプで必要とされます。この設計では、オペアンプ回路の正 / 負電圧レールを生成するための電源として TPS7A3901 を使用します。以下の図に示すように、この低ドロップアウト レギュレータ (LDO) は小さい負電圧を制御する能力が優れています。この汎用回路実装は、多くの産業用機器に適しています。

仕様

LDO付きADS8900Bの性能測定結果
パラメータ テスト条件 データシートの仕様 ADS8900Bの性能測定結果
SNR Vin_max = 5V、Vin_min = 0V 104.5 dB 102.2 dB
THD Vin_max = 5V、Vin_min = 0V -125 dB -123.5 dB

デザイン ノート

  1. 同相、出力振幅、線形開ループ ゲインの仕様に基づいて、オペアンプの線形範囲を特定します。
  2. オペアンプの線形範囲と一致するように可変LDO出力を設定します。
  3. 温度性能に基づいて X7R コンデンサを選定します。
  4. 負電源を利用できない場合は、代替方法として低ノイズ負バイアス ジェネレータ (LM7705) を使用します。

部品選定

  1. 希望の線形信号振幅を 0V~5V とし、バッファ構成の OPA320 を使用した一般的な構成を以下の画像に示します。電源はいずれも希望する入出力振幅を200mV超えています。このトポロジにより、このアンプの線形入出力振幅が確保されます。
  2. 可変LDO出力の部品を選定します。上記 OPA320 の例に基づき、システムのレールを -200mV、+5.2V とします。
    希望出力 R1 R2
    +5.2 V 34kΩ 10kΩ
    -200 mV 1.69kΩ 10kΩ

LDO を 5.2V と -0.2V に調整して取得した ADS8900B の 20 ビット FFT

以下のFFTは、±5Vのフルスケール範囲に極めて近い入力信号(-0.2dBFS)で測定しました。電源を5VとGNDに調整した場合に比べて、SNRおよびTHDは極めて良好です。TPS7A3901 は、-0.2V の線形電源を生成する便利な手段となります。

LDO を 5.0V と GND に調整して取得した ADS8900B の 20 ビット FFT

以下の画像に示すFFTは、±5Vのフルスケール範囲に極めて近い入力信号(-0.2dBFS)で測定しました。電源を5.2Vと-0.2Vに調整した場合に比べて、SNRおよびTHDは劣悪です。

使用デバイス

デバイス 主な特長 リンク 類似デバイス
TPS7A3901 TPS7A39はデュアル、モノリシック、高PSRRの低ドロップアウト(LDO)正/負電圧レギュレータで、最大150mAの電流をソース(およびシンク)できます。正の出力で 1.2V~30V、負の出力で -30V~0V の広い出力電圧範囲に対応しています。小さい負電源電圧を生成するのに最適であり、出力が 0V まで線形にスイングできるよう単一電源アンプに小さい負電源が必要とされる場合に有用です。 www.ti.com/product/TPS7A39 www.ti.com/product/LM7705(1)
ADS8900B バイポーラ差動入力、基準電圧バッファ内蔵SAR ADC、SPIインターフェイス www.ti.com/product/ADS8900B www.ti.com/adcs
OPA320 高精度、ゼロ クロスオーバー、20MHz、RRIO、CMOSオペアンプ www.ti.com/product/opa320 www.tij.co.jp/opamp
負電圧電源には LM7705 も使用可能です。LM7705 は LDO レギュレータではなく、スイッチト キャパシタ レギュレータです。

設計の参照資料

テキサス・インスツルメンツの総合的な回路ライブラリについては、『アナログ エンジニア向け回路クックブック』を参照してください。