JAJA597B March   2018  – October 2024 OPA2388-Q1 , OPA388 , THS4521 , TLV3201 , TLV7021

 

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  3.   商標

設計目標

過電流レベル 電源 過渡応答時間
IIN (最小値) IIN (最大値) V+ V- t
0A 1.0A 5V 0V 10µs 未満

設計の説明

この高速なローサイド過電流検出ソリューションは、1 つのゼロ ドリフト高速セトリング アンプ (OPA388) と、1 つの高速コンパレータ (TLV3201) によって実装されています。この回路は、高速の電流信号および過電流イベントを監視するアプリケーション、たとえばモータや電源ユニットでの電流検出用に設計されています。

帯域幅が広く、オフセットが非常に小さく、スルーレートが高速なことから、OPA388 が選択されています。伝播遅延が 40ns、立ち上がり時間が 4.8ns と短く、応答が高速なことから、TLV3201 が選択されています。これにより、コンパレータは過渡応答時間の要件内で、過電流イベントに対して迅速に応答し、システムに警告できます。また、プッシュプル出力段により、コンパレータはマイクロコントローラの論理レベルと直接接続可能です。さらに、TLV3201 は消費電力が小さく、静止電流が 40µA です。

ローサイドの電流検出には一般に、検出抵抗の両端に接続するアンプを非反転構成で使用できます。ただし、ここに示すアプリケーション回路は、検出抵抗の両端で OPA388 を差動アンプとして使用しています。これにより、シャント抵抗の両端で真の差動測定が行えるため、電源グランドと負荷グランドが同一とは限らない場合に有利です。

デザイン ノート

  1. 誤差を最小化するため、高精度の抵抗を選択し、R1 = R3、R2 = R4 に設定します。
  2. RSENSE は、最大電流 (1A) 時の抵抗の両端の電圧降下が最小限になるように選択します。
  3. OPA388 のオフセットは非常に小さい (0.25µV) ため、RSENSE での mV 範囲の測定に対して、アンプのオフセット誤差の影響は最小限です。
  4. アンプのゲインは、システムが致命的過電流値の 1A に達したとき、COMP_IN が 2V になるよう選択します。
  5. アプリケーション回路を簡素化するため、従来のようなバイパス コンデンサは省略されています。

設計手順

  1. R1 = R3、R2 = R4 のときの伝達方程式を求めます。
    C O M P _ I N = R S E N S E × I L O A D × R 2 R 1 + R 2 × 1 + R 4 R 3
  2. 抵抗の両端での電圧降下を最小限にするため、負荷電流 1A において最大電圧降下が 10mV と仮定して、SENSE 抵抗の値を選択します。
    R S E N S E = V S E N S E m a x I L O A D c r i t i c a l = 10 m V 1 A = 10 m Ω
  3. 負荷電流が致命的スレッショルドの 1A に達したとき、COMP_IN が 2V になるよう、アンプのゲインを選択します。
    G a i n = V R E F R S E N S E × I L O A D c r i t i c a l = 2 V 0.01 V = R 2 R 1 + R 2 × 1 + R 4 R 3 = 200

    次のように設定します。

    R 1 = R 3 = 1 k Ω
    R 2 = R 4 = 200 k Ω
  4. 次の AC シミュレーション結果を検証するため、アンプのトランスインピーダンス ゲインを計算します。
    V O U T I L O A D = 10 m Ω × 200 = 2
    V O U T = I L O A D × 10 m Ω × 200

設計シミュレーション

COMP_IN のトランスインピーダンス AC シミュレーション結果

過渡応答シミュレーション結果

参考資料

  1. テキサス・インスツルメンツ、『ポータブル アプリケーションのバッテリ電圧および電流監視にナノパワー、ゼロ ドリフト アンプを使用する利点』、アプリケーション ノート
  2. テキサス・インスツルメンツ、『中立状態のないライト スイッチでの電流センシング』、テクノロジー ブリーフ
  3. テキサス・インスツルメンツ、『リチウムイオン バッテリで動作するパーソナル エレクトロニクスの GPIO ピン パワー シグナル チェーン』、アプリケーション ブリーフ

設計で使用されているコンパレータ

TLV3201
VS 2.7V~5.5V
tPD 40ns
入力 VCM レール ツー レール
Vos 1 mV
Iq 40µA
TLV3201

設計の代替コンパレータ

TLV7021
VS 1.6V~5.5V
tPD 260ns
入力 VCM レール ツー レール
Vos 0.5 mV
Iq 5µA
TLV7021

設計に使用されているオペアンプ

OPA388
VS 2.5V~5.5V
入力 VCM レール ツー レール
Vout レール ツー レール
Vos 0.25µV
Vos ドリフト .005µV/°C
Iq 1.7mA/Ch
Ib 30pA
UGBW 10 MHz
OPA388

設計の代替オペアンプ

THS4521
VS 2.5V~5.5V
入力 VCM レール ツー レール
Vout レール ツー レール
Vos 20µV
VOS ドリフト μV/℃
Iq 1mA/Ch
Ib 0.6µA
UGBW 145 MHz
THS4521