JAJA609A January   2019  – September 2024 DAC80501 , DAC80508 , DAC8562 , OPA320 , OPA365

 

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設計目標
電源 DAC 出力 差動出力範囲
VCC:10V、VSS:-10V、VDD:5 V 0V~5V ±5V

設計の説明

このシングル エンドから差動への変換回路には、2 つの演算増幅器 (オペアンプ) を使っています。ユニポーラのデジタル / アナログ コンバータ (DAC) チャネルから、バイポーラ差動出力を生成します。この種の回路は、光モジュール都市部データセンターの相互接続超音波スキャナX 線システムなど低ノイズの要求されるアプリケーションで非常に有用です。AC 性能を重視する場合、他の設計手法として完全差動アンプ (FDA) も有用ですが、オペアンプの手法では最良の DC 特性が得られます。そうは言うものの、特定のオペアンプや FDA はこの 2 つのトポロジの比較に影響を与えます。

デザイン ノート

  1. 必要な分解能と出力範囲を持つ DAC を選択します。
  2. 次の主要な要件を考慮して、システムの仕様を満たすオペアンプを選択します。
    • レールまでのスイング:5V 電源レールの場合、レール ツー レールでゼロ クロスオーバー歪みのデバイス (例:OPA320、OPA365) を使用するのが一般的です。
    • オフセット電圧とドリフト:この回路が FDA 手法よりも優れている点の 1 つは、一部のオペアンプの DC 性能が非常に優れていることです。
    • 帯域幅と静止電流:FDA 手法と比較して、この回路のもう 1 つの利点は、オペアンプの帯域幅と、それに関係する静止時電流を、広い範囲から選択できることです。サンプリング レートが低い場合、低帯域幅で低消費電流のオペアンプが最適です。
  3. 出力の熱ノイズが最小になるように、R1 および R2 を選択します。

設計手順

  1. DAC80501 などの DAC を選択します。これは 16 ビット、シングル チャネルのバッファ付き電圧出力 DAC で、2.5V の基準電圧が内蔵されています。基準出力は、同相電圧 (VCM) としても使用できます。
  2. OPA320 などの低歪みオペアンプを選択します。
  3. 回路の DC 伝達関数は、次の式で表されます。

    • ゲインを 1 にして、ノイズを最小化するため、R1 と R2 に 1kΩ を選択します。ゲイン誤差を最小化するため、0.1% 公差の抵抗を使用します。
    • U1 から差動出力への熱ノイズ寄与分は、U1 から直接のパスと、U2 を経由する反転のパスに分けられます。どちらのノイズも相互に関連しているため、直接加算されます。DAC80501 の出力ノイズ密度 (en-DAC) は 74nV/√Hz で、OPA320 のノイズ密度 (en-AMP) は 7nV/√Hz です。U1 のノイズ ゲイン (Gn-U1) は 1 です。したがって、U1 が出力に加算する全ノイズ密度 (en-U1) は次の式で与えられます。
    • ゲイン抵抗 R1 および R2 が加算する熱ノイズ (en-R) は次の式で与えられます。
    • U2 が加算する無相関のノイズ密度 (en-U2) は、ゲイン抵抗の熱ノイズ (en-R)、U2 の熱ノイズ (en-AMP)、VCM が DAC80501 の VREF 出力を経由するときに加算するノイズ (en-VREF) の合成となります。en-VREF は 140nV/√Hz です。U2 のノイズ ゲイン (Gn-U2)、すなわち 1+(R2/R1) は 2 です。したがって、en-U2 は次のように表されます。
    • 最後に、U1 と U2 からのノイズを合わせると、差動出力での全ノイズ密度 (en-T) が得られます。

    差動出力における熱ノイズのシミュレーション値を、次の図に示します。シミュレーション値の 316.9nV/√Hz は、計算された値とほぼ同じです。DAC 出力と VREF 出力の熱ノイズは、ノイズのシミュレーションのため、等価抵抗でエミュレートされています。

差動出力での熱ノイズ密度 (VCM = VREF)

DC 伝達特性 (VCM = 0V)

周波数応答 (振幅)

周波数応答 (位相)

群遅延

群遅延は、印加された入力信号と出力信号との間の時間遅延です。すべてのアンプおよびフィルタには群遅延が存在します。この回路では、反転パスと非反転パスの両方に異なる群遅延が存在するため、群遅延が重要となります。これにより、高い周波数の信号が歪む可能性があります。詳細については、時間ドメイン プロットの群遅延を参照してください。

出力過渡応答

設計に使用しているデバイスと代替部品

主なデバイス
デバイス 主な特長 リンク
DAC80501 高精度基準電圧を内蔵した 16 ビット、1LSB INL のデジタル / アナログ コンバータ (DAC) WSON パッケージ封止、高精度基準電圧内蔵、真の 16 ビット、1 チャネル、SPI/I2C 対応、電圧出力 DAC
DAC80508 高精度リファレンス内蔵 8 チャネル、真の 16 ビット、SPI、電圧出力 DAC 16 ビット、超低グリッチ、電圧出力 D/A コンバータ
DAC8562 温度ドリフト 4ppm/℃ の 2.5V リファレンス搭載、16 ビット、デュアルチャネル、低消費電力、超低グリッチ、電圧出力 DAC 温度ドリフト 4ppm/℃の 2.5V 基準電圧搭載、16 ビット、デュアルチャネル、低消費電力、超低グリッチ、電圧出力 DAC
OPA320 高精度、ゼロ クロスオーバー、20MHz、Ib = 0.9pA、RRIO、CMOS オペアンプ 高精度、ゼロ クロスオーバー、20MHz、Ib = 0.9pA、RRIO、CMOS オペアンプ
OPA365 2.2V、50MHz、低ノイズ、単一電源、レール ツー レール オペアンプ 2.2V、50MHz、低ノイズ、単一電源、レール ツー レール オペアンプ

主要なファイルへのリンク

テキサス・インスツルメンツ、TINA SBAM419、ソース ファイル