JAJA717 October 2021 DRV5032 , TMAG5170 , TMAG5231 , TMAG5273
ホール効果センサは、リード・スイッチとは異なり、磁界の検出にも使用できる IC デバイスです。テキサス・インスツルメンツが供給しているホール効果センサのうち、TMAG5273 や TMAG5170 などの一部は、リニア出力で 3D 空間磁気検出も行えます。その他の製品は、特定の軸で磁界が検出されたとき、リード・スイッチと同様にバイナリを出力します。DRV5032 を VCC の 1.8V 電源電圧により、毎秒 5 サンプルで使用する場合、平均消費電流はわずか 540nA で、リード・スイッチの代替として優れた低消費電力のオプションです。
ホール効果センサは、図 3-1 に示すように、磁界 (B) が存在するとき、電流 (I) が通過する導体に発生する電位差 (V) を検出します。
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この電気物理特性を IC に統合することで、リード・スイッチと同様に磁界を検出できます。次に示す DRV5032 の回路図は、マイクロコントローラを使用してデバイスからのバイナリ出力を検出する、このアプリケーションの例です。検出距離は、製品で利用可能な磁気スレッショルド感度のバリエーションによって調整できます。このドキュメントに記載されているテストでは、デバイスの全極性 FB バージョンを TO-92 パッケージで使用しています。このデバイスの詳細については、TI.com の DRV5032 製品ページを参照してください。DRV5032 のようなホール効果スイッチは、単純なオープンとクローズのステータスで十分なアプリケーションに適しています。また、このデバイスは非常に低消費電力で、毎秒 5 サンプルなら消費電流はナノアンペア単位です。バッテリ駆動のアプリケーションでは、できる限りの消費電力低減が必要なため、この低消費電力が非常に有用です。DRV5032 のアプリケーションの例を、図 3-2 に示します。
より詳細な検出シナリオに適した、もう 1 つの優れたオプションは、TMAG5170 や TMAG 5273 などのリニア 3D ホール効果センサです。TMAG5170 は、このドキュメント全体を通してテストに使用されています。これらのデバイスは、3 軸の検出が必要な、または望ましい、より高度な検出方式に適しています。3 軸デバイスを活用すると、通常使用の磁気出力をアクティビティのリファレンス・ポイントとして使用し、3 つの平面すべてで改ざんを検出できます。通常のアイドル状態を想定して、デバイスからのリニア出力が変動していることが示された場合、デバイス所有者にアラートを送信して、その特定のドアや窓について異常な状態がセンサによって検出されたことを通知します。コンパニオン・ホスト・マイクロコントローラを使用する TMAG5170 のアプリケーション例を、図 3-3 に示します。
リニア 3D ホール効果センサは、図 3-4 に示すような位置に取り付けられ、取り付け位置の変動を必要とするセンサにも適しています。ここでは、ドア・フレームがドア自体から持ち上げられることで、X 軸と Y 軸の両方にデルタ距離が発生します。この場合にはリード・スイッチも使用可能ですが、磁石の距離と方向の関係で、配置の制限が厳しくなります。3 軸の TMAG デバイスには、ドア・フレームから追加されるオフセットによる磁石の特殊な位置を検出する機能があります。
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