JAJA719A March 2022 – May 2024 TMAG5170 , TMAG5273
ロボット メカニズムは、特定のタスクを実行するために、プログラムされた応答に基づいて動作を設定および制御しています。そのタスクは、移動運搬から安定性制御、製造および組み立て作業までさまざまです。どの場合でも、ロボットの動きはモーター駆動機構によって制御されます。そのモーター駆動機構は、直接駆動される場合と、その他の方法 (ギア ボックス、ベルト、ねじ、ラック アンド ピニオンなど) によってシステムと連結される場合とがあります。
いずれの場合も、モーター シャフトの回転がシステムに結合されます。どのようなアプリケーションでも、モーター シャフトの位置がシステム全体の動作とどのように関連しているかを理解することが重要です。それには、多くの理由があります。
これらの要因は、自律型移動ロボットが倉庫のフロアを走行する際の妥当性、あるいは、組み立て作業を行う 6 軸ロボット アームの精度および再現性に影響を及ぼします。
位置情報は、モーターの整流に使用するセンサから角度を積算して取得することもできますが、安定した動作を実現するためには、多くの場合、より高い精度が必要です。必要な精度を実現するモーター シャフトの位置検出としては、一般的に、角度エンコーディングが使用されます。
モーター シャフトの絶対角度を測定するためには、エンコーダを使ってシャフトそのものを測定する必要があります。ほとんどのロボット アプリケーションでは、絶対位置情報が必要であり、一般的に、磁気センサまたは光学エンコーダを使って検出します。信頼性の高い動作のために、光学エンコーダは、土、ほこり、その他の汚染物質からセンサを保護する大きい筐体を必要とします。さらに、これらの設計は、モーター シャフトと機械的に結合する必要があり、動作速度が制限される可能性があります。
磁気センシングと誘導センシングは、どちらも、これらの課題に対処できます。モーターのシャフトに磁石を取り付ければ、磁界を測定することによって角度位置を決定できます。この測定の詳細については、『ホール効果センサを使用した回転動作の絶対角度測定』アプリケーション ブリーフを参照してください。
標準的なホール効果磁気センサは、その性質上、1 次元です。ホール効果とは、荷電粒子に働くローレンツ力によって発生する電位差を測定するものです。本質的に、印加される磁界、電流、および電圧は相互に直交します。その結果、単一のデバイスで測定できるのは、3 次元磁界のうち 1 つの成分だけです。
アークタンジェント関数を使って 360 度の回転角度全体を有効に測定するためには、90 度離れた 2 つのセンシング素子が必要です。その結果として、標準的な 1 次元センサを使用した配置を1 次元ホール効果センサの配置 に示します。
この方法で磁石の位置を検出することによって必要な入力が得られますが、回転する磁石のまわりに 2 つのセンサを物理的に離して設置する必要があります。最高品質の入力を実現するには、磁石に対して各センサの位置を入念に調整する必要があります。この課題に対処するために、通常は慎重な組み立て作業が求められます。表面実装デバイスは、ハンダ リフロー時に自己整列するので、回転する可能性があります。また、スルーホール部品は、一定の高さと整列を確保するために、組み立て時にジグまたはスペーサーが必要です。ハンダ付けの際に理想的な整列が達成された場合でも、デバイスに力を加えると、リードが曲がって理想的ではない整列になることがあります。
これらの理由により、ロボットの位置エンコーダには、TMAG5170、TMAG5273、TMAG5173-Q1 などのモノリシック 3D ホール効果センサが最適な選択肢です。この種のデバイスは、磁界ベクトルの個々の成分を測定して報告できます。図 4 を参照してください。
各成分を監視するとき、回転する磁石は、自然に 90 度の位相差でセンサに入力を供給します。
3D ホール効果センサを使用する場合、磁界の測定に使用するホール素子は、同じダイの中で相互に直交しています。その結果、わずかなハンダ付けのずれがあっても、角度位置の検出には問題ありません。これは、センシング素子が常に相互に直交しているためです。また、単一のダイに統合されたセンサを使用すると、製造時の条件が同じであるため、感度のマッチングも改善されます。
整列させるパッケージは 1 つだけなので、磁石の配置はよりフレキシブルになります。シャフトのスルーホールに取り付けられたリング磁石、または標準的な円柱型磁石の端を使用できます。このセンサは、磁石の影響範囲内でアクセス可能な任意の場所に、都合の良い方法で配置することができ、コンパクトなエンコーディング設計を実現します。
このデバイス ファミリのもう 1 つの大きい利点は、デジタル インターフェイス経由でマイクロコントローラにデータを送り返せることです。デジタル データは破損しにくいので、電線を介して送信する場合に、電気的ノイズの干渉はそれほど懸念されません。巡回冗長検査 (CRC) により、すべての読み取り動作について、信号の整合性を確保できます。これにより、マイクロコントローラを離れた場所に配置することもでき、機械設計の多様性が向上します。
また、TMAG5170 は、通常動作時に自己診断を実行することもできます。内部メモリ、VCC ステータス、内部 LDO ステータス、出力ピン電圧、温度、 その他のデバイス機能の検証を行います。この機能は、デバイスの状態に関するリアルタイム情報を提供することにより、信頼性や安全性に影響を及ぼす可能性のあるシステムの動作を正常に維持するのに役立ちます。
データシート | 特性 | 設計の考慮事項 |
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DRV5055 レシオメトリック リニア ホール効果センサ | 民生用 (車載用) 1 軸バイポーラ リニア ホール効果センサ、アナログ出力付き、SOT-23 および TO-92 パッケージで供給 | 1
次元アナログ出力は、電気ノイズの影響を受けます。計算にはマイクロコントローラの演算が必要です。 2つのセンサが必要なので、整列は比較的困難です。 |
TMAG5170 SPI 搭載、高精度、3D リニア ホール効果センサ | 民生用 (車載用) グレードのリニア 3D ホール効果位置センサ、 SPI インターフェイス付き、8 ピン DGK パッケージで供給 | 優れた磁気ベクトル感度。このデバイスは、広い範囲にわたって磁石の位置を追跡できますが、すべての入力条件が唯一の位置に対応づけられるように慎重な計画を行う必要があります。 |
TMAG5273 I2C インターフェイス搭載、低消費電力、リニア 3D ホール効果センサ | リニア 3D ホール エフェクト位置センサ、I2C インターフェイス付き、6 ピン SOT-23 パッケージで供給 | TMAG5170 は、より厳格な感度公差を備えており、TMAG5273 は I2C 経由で動作します |
車載用、I²C インターフェイス搭載、高精度、リニア 3D ホール効果センサ、6 ピン SOT-23 パッケージで供給 |
TMAG5173-Q1 は低消費電力、リニア
3D ホール効果センサです。 ASIL D までの決定論的対応能力と、ASIL B または SIL 2 までのハードウェア インテグリティに対応 |
名称 | 説明 |
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多軸ホール効果センサによる角度測定 | TMAG5170 を使用した角度測定の詳細を示すアプリケーション ノート |
ホール効果センサを使用した回転動作の絶対角度測定 | ホール効果磁気センサを使用した角度測定の概要を紹介するアプリケーション ブリーフ |
TIDA-060040 | 1D および 3D ホール効果センサを使ったさまざまな整列構成での角度精度とキャリブレーションを説明するリファレンス デザインおよびテスト結果。 |
TMAG5170UEVM | GUI および付属品により、高精度の 3 次元リニア ホール効果センサを使用した角度測定機能を実現 |
TMAG5273EVM | GUI および付属品により、3 次元リニア ホール効果センサを使用した角度測定を実現 |
DRV5055EVM | 評価基板は、デジタル ディスプレイを装備し、計測対象面に沿った直線上でのさまざまなセンシングを実現 |
TI プレシジョン ラボ - 磁気センサ | ホール効果とその用途を説明した一連の有益なビデオ シリーズ |
TMAG5173EVM | リニア 3D ホール効果センサである TMAG5173-Q1 デバイスの主な機能と性能を評価するための使いやすいプラットフォーム。本評価基板 (EVM) には、1 個の磁石と 1 枚の TMAG5173-Q1 ドーター ボードが組み込まれています。 |