設計目標

設計の説明

この高速な絶縁型双方向過電流検出回路は、AMC23C12 を使って実装されています。AMC23C12 は、絶縁型ウィンドウ コンパレータと、固定の内部高精度電流源とユーザー選択可能な抵抗によって調整できるスレッショルド レベルとを特長としています。この回路は、過電流状況を素早く検出し、モーター制御、トラクション インバータ、その他の産業用制御システムで使用される高速スイッチのパルス幅変調 (PWM) 制御をコントローラが無効化できるように設計されています。

デザイン ノート

1. 誤差ができるだけ小さくなるように、高精度シャント抵抗 (R₁) とスレッショルド設定抵抗 (R₂) を選択します。
2. AMC23C12 には、最大 27V のゲート駆動電源またはハイサイド補助電源から電力を供給します。
3. ウィンドウ コンパレータ動作モードを使って、公称電流制限値および過電流制限値と一致するようにシャント抵抗およびスレッショルド設定抵抗を選択します。

設計手順

1. 公称電流レベルに基づいてシャント抵抗のサイズを決定します。入力ピンが 50mV になるように、シャント抵抗のサイズを設定します。
   $R_1=\left(\frac{50 mV}{50 A}\right)=1.0 m\mathrm{\Omega }$
2. 内部 100µA 電流源と目標トリップ レベル (55A、ウィンドウ コンパレータの入力の 1mΩ シャントで 55mV) を使用して、目的の電流トリップ レベルに基づいて、R2 の値を決定します。
   $R_2=\left(\frac{55 mV}{100 \mu A}\right)=550 \mathrm{\Omega }$
   • アナログ技術者向けカリキュレータを使い、550Ω に最も近い E96 抵抗値として 549Ω が求まります。
3. 任意 - 推奨動作電源電圧よりも高い電圧から AMC23C12 を保護するため、27V のツェナー ダイオードを選択します。

設計シミュレーション

以下の画像は過電流保護回路の SPICE シミュレーションです。このシミュレーションは、エッジ トリガまでの時間 (約 360ns) を示しています。

設計結果

以下の画像は物理回路の波形キャプチャです。過電流保護回路の波形は、出力 (ライン 1) と入力 (ライン 3) との関係を示しています。過電流保護回路の波形 - 立ち上がりは、出力 (ライン 1) の立ち上がりエッジと、電流のトリガから出力までの遅延時間を示しています。過電流保護回路の波形 - 立ち下がりは、出力 (ライン 1) の立ち下がりエッジと、電流のトリガから出力までの遅延時間を示しています。

使用デバイス

設計の参照資料

テキサス・インスツルメンツの総合的な回路ライブラリについては、『アナログ エンジニア向け回路クックブック』を参照してください。

テキサス・インスツルメンツ、『AMC23C12 可変閾値電圧、ラッチ機能を有する高速応答、強化絶縁型ウィンドウ コンパレータ』データシート