JAJA775 October   2023 AMC23C11 , UCC23513

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   商標
  4. 1はじめに
  5. 2DESAT 機能を内蔵した絶縁型ゲート ドライバに関するシステムの課題
  6. 3UCC23513 および AMC23C11 を使用したシステム アプローチ
    1. 3.1 システムの概要と主な仕様
    2. 3.2 回路図の設計
      1. 3.2.1 回路図
      2. 3.2.2 VCE(DESAT) スレッショルドおよび DESAT バイアス電流の構成
      3. 3.2.3 DESAT ブランキング時間
      4. 3.2.4 DESAT グリッチ除去フィルタ
    3. 3.3 リファレンス PCB レイアウト
  7. 4シミュレーションおよびテスト結果
    1. 4.1 シミュレーション回路と結果
      1. 4.1.1 シミュレーション回路
      2. 4.1.2 シミュレーション結果
    2. 4.2 3 相 IGBT インバータによるテスト結果
      1. 4.2.1 ブレーキ IGBT テスト
      2. 4.2.2 位相間短絡が発生した 3 相インバータのテスト結果
  8. 5まとめ
  9. 6参考資料
  10. 7改訂履歴

3.2.3 DESAT ブランキング時間

DESAT 監視のブランキング時間 tBLANK は、IGBT のターンオン時での誤トリガ回避のために必要です。コンデンサ C14 と抵抗 R10～R14 は、VCE センシング信号が絶縁型コンパレータの入力 VCIN に到達するのを遅延させます。この遅延時間は、分圧器 R13 と R14 の等価抵抗 REQ を介して C14 の充電時間によって制御されます。

式 6. REQ≈R13 // R14 =3 kΩ // 15 kΩ = 2.5 kΩ

C14 を 330pF にすると、RC フィルタの時定数は次のようになります。

式 7. Tau=REQ×C14=2.5 kΩ × 330 pF = 0.82 μs

実際のブランキング時間は、過電流発生時における IGBT の実際の VCE(SAT) 電圧に対して構成されている VCE(SAT) 定常状態スレッショルドの比率に依存し、式 8 で概算できます。

式 8. tBLANK=-ln⁡1-VCEDESATVCESAT×REQ×C14

そのため、VCE(DESAT) 定常状態 スレッショルドとブランキング時定数を、システムで使用される個々の IGBT に応じて調整することが重要です。VCE(DESAT) 定常状態スレッショルドをデフォルトの 8V に設定した場合の値については、次の表を参照してください。

表 3-2 デフォルトの VCE(DESAT) 設定時の実効的なブランキング時間

IGBT VCE(SAT) [V]

≥ 14.5

12.5

11

10

9

8.5

tBLANK [μS]

0.7

0.9

1.1

1.4

1.9

2.4

注意: 過電流状態では、VCE(DESAT) 定常状態スレッショルドを IGBT の実際の VCE(SAT) に近づけすぎると、実効的なブランキング時間が構成済みのブランキング時定数よりも大幅に大きくなるため、このような構成は回避してください。