JAJSGJ4D August 2018 – April 2021 UCC21530-Q1
PRODUCTION DATA
ゲート・ドライバ・サブシステムの総合損失 PG には、UCC21530-Q1 (PGD) の電力損失と、外部ゲート・ドライブ抵抗などの周辺回路の電力損失が含まれます。ブートストラップ・ダイオードの損失は PG に含まれず、このセクションでは触れません。
PGD は、UCC21530-Q1 の熱的安定性に関連する制限値を決定する主要な電力損失で、複数の要因からの損失を計算することにより推定できます。
第 1 の要因は静的電力損失 PGDQ です。これにはドライバの静止電力損失と、特定のスイッチング周波数で動作しているドライバの自己消費電力が含まれます。PGDQ は、与えられた VCCI、VDDA/VDDB、スイッチング周波数、周囲温度において、OUTA と OUTB に負荷が接続されていない状態でベンチ測定されます。無負荷時の出力チャネルごとの消費電流と動作周波数との関係を、図 6-4 に示します。この例では、VVCCI = 5V、VVDD-VVSS = 19V です。INA/INB を 0V から 3.3V まで 100kHz でスイッチングした場合の各電源の電流は、IVCCI ≈ 2.5mA、IVDDA = IVDDB ≈ 1.5mA と測定されます。その結果、PGDQ は以下の式で計算できます。
第 2 の要因は、各スイッチング・サイクル中にドライバが負荷を充放電する際の、与えられた負荷容量でのスイッチング動作損失 PGDO です。負荷スイッチングによる総合動的損失 PGSW は以下の式で推定できます。
ここで
ターンオン / ターンオフするために分割レールを使う場合、VDD は正レールと負レールの差に等しくなります。
そのためこのアプリケーション例の場合、以下の式で表されます。
QG は、20A で 600V をスイッチングするパワー・トランジスタの総ゲート電荷量を表します。テスト条件が変わると、この値も変わる可能性があります。UCC21530-Q1 の出力段のゲート・ドライバ損失 (PGDO) は PGSW の一部です。外部ゲート・ドライバ抵抗がゼロの場合、PGDO は PGSW と等しくなり、すべてのゲート・ドライバ損失は UCC21530-Q1 の内部で消費されます。外部ターンオンおよびターンオフ抵抗が存在する場合、総合損失はゲート・ドライバのプルアップ / ダウン抵抗と外部ゲート抵抗との間で分配されます。ソース / シンク電流が 4A/6A に飽和してない場合、プルアップ / ダウン抵抗は線形かつ固定ですが、ソース / シンク電流が飽和している場合、プルアップ / ダウン抵抗は非線形であることに注意します。そのため、これらの 2 つの条件によって PGDO は異なります。
ケース 1 - 線形のプルアップ / ダウン抵抗:
この設計例では、想定されるすべてのソース / シンク電流は 4A/6A 未満であるため、UCC21530-Q1 のゲート・ドライバ損失は以下の式で推定できます。
ケース 2 - 非線形のプルアップ / ダウン抵抗:
ここで
一部の条件で、プルアップ回路とプルダウン回路のどちらかのみが飽和し、他方が飽和していない場合、PGDO はケース 1 とケース 2 の組み合わせとなり、上記の説明に基づいて、プルアップとプルダウンに対して式を簡単に特定できます。その結果、ゲート・ドライバ UCC21530-Q1 で消費される全ゲート・ドライバ損失 PGD は以下の式で表されます。
これは、本設計例では 103mW に相当します。