JAJSKM0B May   2020  – May 2022 DRV8932

PRODUCTION DATA  

  1. 特長
  2. アプリケーション
  3. 概要
  4. 改訂履歴
  5. ピン構成および機能
    1.     ピン機能
  6. 仕様
    1. 6.1 絶対最大定格
    2. 6.2 ESD 定格
    3. 6.3 推奨動作条件
    4. 6.4 熱に関する情報
    5. 6.5 電気的特性
    6. 6.6 代表的特性
  7. 詳細説明
    1. 7.1 概要
    2. 7.2 機能ブロック図
    3. 7.3 機能説明
      1. 7.3.1 ブリッジの制御
      2. 7.3.2 電流レギュレーション
      3. 7.3.3 減衰モード
        1. 7.3.3.1 ブランキング時間
      4. 7.3.4 チャージ・ポンプ
      5. 7.3.5 リニア電圧レギュレータ
      6. 7.3.6 論理およびクワッドレベル・ピン構造図
        1. 7.3.6.1 nFAULT ピン
      7. 7.3.7 保護回路
        1. 7.3.7.1 VM 低電圧誤動作防止 (UVLO)
        2. 7.3.7.2 VCP 低電圧誤動作防止 (CPUV)
        3. 7.3.7.3 過電流保護 (OCP)
        4. 7.3.7.4 サーマル・シャットダウン (OTSD)
        5. 7.3.7.5 フォルト条件のまとめ
    4. 7.4 デバイスの機能モード
      1. 7.4.1 スリープ・モード (nSLEEP = 0)
      2. 7.4.2 動作モード (nSLEEP = 1)
      3. 7.4.3 nSLEEP リセット・パルス
      4. 7.4.4 機能モードのまとめ
  8. アプリケーションと実装
    1. 8.1 アプリケーション情報
    2. 8.2 代表的なアプリケーション
      1. 8.2.1 設計要件
      2. 8.2.2 詳細な設計手順
        1. 8.2.2.1 電流レギュレーション
        2. 8.2.2.2 消費電力および熱に関する計算
        3. 8.2.2.3 アプリケーション曲線
  9. 電源に関する推奨事項
    1. 9.1 バルク・コンデンサ
  10. 10レイアウト
    1. 10.1 レイアウトの注意点
      1. 10.1.1 レイアウト例
  11. 11デバイスおよびドキュメントのサポート
    1. 11.1 ドキュメントのサポート
      1. 11.1.1 関連資料
    2. 11.2 ドキュメントの更新通知を受け取る方法
    3. 11.3 コミュニティ・リソース
    4. 11.4 商標
  12. 12メカニカル、パッケージ、および注文情報

消費電力および熱に関する計算

本デバイスの出力電流および消費電力特性は、PCB 設計と外部条件に大きく依存します。ここでは、これらの値を計算するための指針を提示します。

本デバイスの総消費電力は、おもに 3 つの要素から成ります。それらは、パワー MOSFET RDS(ON) (導通) 損失、パワー MOSFET スイッチング損失、および電源静止電流損失です。それ以外の要素が電力損失の増加に影響することもありますが、この 3 つの主要な要素に比べると通常わずかです。

PTOT = PCOND + PSW + PQ

VM に接続される負荷の場合、すべての出力に同じ負荷電流があると仮定すると、合計導通損失は次のように表すことができます。

PCOND = 4 x (IOUT)2 x RDS(ONL)

DRV8935 のハイサイド MOSFET とローサイド MOSFET はオン抵抗が同じであるため、導通損失は入力 PWM のデューティ・サイクルや PWM オフ時間の長さには依存しません。RDS(ON) はデバイス温度と強い相関があることに注意する必要があります。正規化した RDS(on) と温度との関係を示す曲線については、「代表的特性」の曲線を参照してください。

PCOND = 4 x (0.6A)2 x 0.45Ω = 0.648W

PSW は、公称電源電圧 (VM)、安定化出力電流 (IOUT)、スイッチング周波数 (fPWM)、デバイス出力立ち上がり (tRISE) / 立ち下がり (tFALL) 時間の仕様から計算できます。

4 つの出力すべてが同時にスイッチングされていると仮定します。

PSW = 4 x (PSW_RISE + PSW_FALL)

PSW_RISE = 0.5 x VM x IOUT x tRISE x fPWM

PSW_FALL = 0.5 x VM x IOUT x tFALL x fPWM

PSW_RISE = 0.5 x 24V x 0.6A x 100ns x 40kHz = 0.0288W

PSW_FALL = 0.5 x 24V x 0.6A x 100ns x 40kHz = 0.0288W

PSW = 4 x (0.0288W + 0.0288W) = 0.2304W

PQ は、公称電源電圧 (VM) と IVM 電流の仕様から計算できます。

PQ = VM x IVM = 24V x 5mA = 0.12W

全消費電力 (PTOT) は導通損失、スイッチング損失、静止電力損失の合計として計算されます。

PTOT = PCOND + PSW + PQ = 0.648W + 0.2304W + 0.12W = 0.9984W

周囲温度が TA 、総消費電力 (PTOT) の場合、接合部温度 (TJ) は次のように計算されます

TJ = TA + (PTOT x RθJA)

JEDEC 規格の 4 層 PCB を考慮すれば、接合部から周囲への熱抵抗 (RθJA) は、HTSSOP パッケージの場合 33℃/W、VQFN パッケージの場合 43℃/Wです。

25℃の周囲温度を仮定すると、HTSSOP パッケージの接合部温度は以下のように計算されます。

TJ = 25°C + (0.9984W x 33°C/W) = 57.95°C

VQFN パッケージの接合部温度は以下のように計算されます。

TJ = 25°C + (0.9984W x 43°C/W) = 67.93°C

デバイス接合部温度が規定の動作範囲内にあることを確認する必要があります。