JAJT282 February 2024 TPS62873 , TPS62876-Q1 , TPSM8287A10 , TPSM8287A12 , TPSM8287A15
高速過渡応答を維持し、 それを COMP ピンの外部補償によってさらに改善および調整できることに加え、固定周波数 DCS-Control では、厳格な許容誤差仕様の固定スイッチング周波数が得られます。スイッチング周波数は、オン タイマで間接的に制御されるのではなく、発振器で直接設定されるため、周波数の許容誤差はデバイス固有のデータシートで規定されます。 表 1 と表 2 に、固定周波数 DCS-Control トポロジを使用した TPS62876-Q1 のスイッチング周波数仕様と、DCS-Control を使用した TPS62869 降圧コンバータの標準周波数仕様の比較を示します。
パラメータ | テスト条件 | 最小値 | 代表値 | 最大値 | 単位 | |
---|---|---|---|---|---|---|
fSW | スイッチング周波数 | fSW = 1.5MHz、PWM 動作 | 1.35 | 1.5 | 1.65 | MHz |
fSW = 2.25MHz、PWM 動作 | 2.025 | 2.25 | 2.475 | |||
fSW = 2.5MHz、PWM 動作 | 2.25 | 2.5 | 2.75 | |||
fSW = 3MHz、PWM 動作 | 2.7 | 3 | 3.3 |
パラメータ | テスト条件 | 最小値 | 代表値 | 最大値 | 単位 | |
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fSW | PWM スイッチング周波数 | IOUT = 1A、VOUT = 0.9V | 2.4 | MHz |
図 4 と図 5 に、 アプリケーション内でのスイッチング周波数の実際の変動と負荷電流の関係を示します。どちらのデバイスもパワー セーブ モードをサポートしており、負荷電流が小さい場合に周波数を低下させます (両方のグラフの左側)。PWM モードの動作 (大電流時) においては、固定周波数 DCS-Control ではスイッチング周波数が正確に制御されますが、 DCS-Control ではスイッチング周波数は負荷の増加に伴ってわずかに増加します。強制 PWM モード (図に表示なし) においては、固定周波数 DCS-Control では無負荷まで周波数が一定に維持されます。
パワー セーブ モード以外でも、負荷過渡が強い場合および最小オン時間に達した場合の 2 つの状況では、スイッチング周波数が発振器で設定された周波数から外れる可能性があります。重負荷を印加したときにハイサイド MOSFET がスイッチング周期よりも長時間オンになり、重負荷を除去したときにスイッチング周期よりも長時間オフになることがあります。どちらの場合でも、オン時間またはオフ時間が長くなったために、1 つ以上のパルスが存在しなくなります。
ハイサイド MOSFET の最小オン時間に達した場合、固定周波数 DCS-Control と DCS-Control のどちらも、最小オン時間を満たし、出力電圧レギュレーションを維持するために、スイッチング周波数を低下させます。これは、必要な最小オン時間を満たすために周波数を維持しながら出力電圧を上昇させる一部の電流モード デバイスよりも優れた性能です。固定周波数 DCS-Control と DCS-Control はどちらも同じ方法でスイッチング周波数を低下させますが [2]、固定周波数 DCS-Control は最小オン時間が短いため、最小オン時間に達して周波数が低下する動作条件は少なくなります。たとえば、 TPS62876-Q1 では、5V 入力電圧での動作温度範囲全体における最小オン時間の最大値は 44ns と規定されています。このように最小オン時間が短いため、車載、航空宇宙、防衛などの低出力電圧アプリケーションにおいて、システム全体で必要とされる高周波数領域で動作できます。