JAJT284 February   2024 LM74700-Q1 , LM74900-Q1

 

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  2. 1はじめに
  3. 2OR 接続とパワー マルチプレクサの手法
  4. 3電源 OR 接続の代表的なアプリケーション回路
  5. 4優先順位付きパワー マルチプレクサの構成
  6. 5まとめ
  7. 6参考資料

電源 OR 接続の代表的なアプリケーション回路

OR 接続回路は、インフォテインメント、車体制御モジュール、先進運転支援システム、照明モジュールなどの車載サブシステムで一般的に採用されています。この回路は、電源の障害や切断が発生した場合の冗長性と信頼性を確保します。図 2 に、理想ダイオード コントローラ IC と外部 N チャネル MOSFET を組み合わせたさまざまな OR 接続トポロジを示します。

効果的な OR 接続ソリューションは、いずれかの電源に障害が発生した場合に逆電流の持続時間と量を制限するため、非常に高速である必要があります。OR 接続構成の理想ダイオード コントローラは、アノード ピン (電源の電圧レベル V‌IN1、V‌IN2‌) とカソード ピン (同相負荷の電圧レベル V‌OUT‌) の電圧差を常に検出します。高速コンパレータは、VIN - VOUT が指定された逆スレッショルド (通常は数 mV) を下回ると、数マイクロ秒以内に高速プルダウンによってゲート駆動をシャットダウンします。テキサス・インスツルメンツの理想ダイオード コントローラでは、高速な逆電流検出コンパレータとともに、リニア ゲート レギュレーション方式を採用しており、入力電源の損失時に DC 逆電流をゼロにします。

GUID-20240129-SS0I-J7SL-ZPRM-GLXNK5SP5GSK-low.svg図 2 理想ダイオード コントローラを使用した代表的な OR 接続トポロジ。

低静止電流の実現やフォルト状態からのシステム保護のため、負荷を電源から切断する必要のあるサブシステムもあります。図 2 のトポロジ 2 に、テキサス・インスツルメンツの LM7480-Q1 および LM7470-Q1 デバイスを使用した共通負荷切断制御を備えたデュアル電源入力 OR 接続用の代表的なアプリケーション回路を示します。LM7470-Q1 で駆動される FET Q1 と LM7480-Q1 で駆動される FET Q2 が OR 接続機能を提供し、LM7480-Q1 で駆動される FET Q3 が負荷を電源から絶縁できます。VIN1 が VIN2 より大きい場合、LM7480-Q1 による FET の独立制御により、Q2 が逆電流をブロックし、Q3 はオンのままで VIN1 を VOUT に接続します。

図 2 のトポロジ 3 に、レールごとに負荷を切断する機能を備えた OR 接続用の代表的なアプリケーション回路を示します。この回路では、各レールに異なる負荷切断条件を割り当てることができます。

図 3 および図 4 に、電源 OR 接続における 2 つの電源レール間の切り替え性能を示します (V‌IN1‌ = 12V、V‌IN2‌ = 15V)。

GUID-20240129-SS0I-FRLG-RMLT-LWZFLNPBHHPB-low.png図 3 VIN1 から VIN2 への電源切り替え。
GUID-20240129-SS0I-CZRX-P8N0-6HVWSJXKRGQV-low.png図 4 VIN2 から VIN1 への電源切り替え。