JAJU896 June 2023 ADS131M08 , MSPM0G1507
商用電源からの公称電圧は 100V~240V なので、ADC で検出するには電圧をスケールダウンする必要があります。この電圧スケーリングに使用されるアナログ・フロント・エンドを、図 2-3 に示します。J1 は位相 A に電圧を印加する場所であり、位相 B と位相 C にも同様の回路を使用します。
電圧のアナログ・フロント・エンドには、スパイク保護用のバリスタ (R6)、電磁干渉フィルタ・ビーズ用のフットプリント (抵抗フットプリント R1 および R9)、分圧器ネットワーク (R2、R3、R4、R7)、RC ローパス・フィルタ (R5、R8、C1、C3、C2) があります。
電流が小さい場合、電圧から電流へのクロストークは、電力オフセットのキャリブレーションを行わなければ、電圧精度よりも有効エネルギーの精度に、はるかに大きな影響を及ぼします。このような低電流での精度を最大化するため、この設計では ADC 範囲全体のごく一部だけを電圧チャネルに使用しています。ADS131M08 デバイスの ADC は高精度なので、この設計では電圧チャネルに使用する ADC 範囲を狭くしても、電圧を測定するのに十分な精度を実現できます。特定の商用電源電圧と、選択した分圧抵抗の値について、電圧 ADC チャネルに供給される差動電圧の範囲を計算する方法を、式 1 に示します。
この式と、図 2-3 で選択した抵抗の値に基づいて、(ラインと中間の間で測定される) 商用電源電圧が 120V なら、電圧 ADC への入力信号の電圧スイングは ±128mV (91mVRMS) です。(ラインと中間の間で測定される) 商用電源電圧が 230V なら、フロントエンド回路に 230V を入力すると、±245.33mV (173.48mVRMS) の電圧スイングを発生します。±128mV および ±245.33mV の電圧範囲はどちらも十分に ±1.2V の入力電圧範囲内で、電圧チャネルに使用される、選択された PGA ゲイン値 1 について、ADS131M08 デバイスにより検出可能です。