JAJU896 June 2023 ADS131M08 , MSPM0G1507
どのようなメータでも、性能を発揮するためキャリブレーションは重要で、絶対に不可欠なプロセスです。どのメータも最初は、シリコンのばらつき、センサの精度、その他の受動的公差により、それぞれ精度が異なります。それらの影響を打ち消すには、すべてのメータにキャリブレーションが必要です。キャリブレーションを正確に行うには、高精度の AC テスト・ソースとリファレンス・メータを使用できる必要があります。このソースは、必要な電圧、電流、位相シフト (V と I の間) を生成できる必要があります。測定の誤差を計算するため、リファレンス・メータは、ソースとキャリブレーション対象のメータの間のインターフェイスとして機能します。このセクションでは、この 3 相電気メータ設計の単純で効果的なキャリブレーション方法について説明します。
測定結果の表示用の GUI を使用して、設計のキャリブレーションも簡単に行えます。キャリブレーション時には、キャリブレーション係数と呼ばれるパラメータがテスト・ソフトウェアで変更され、測定誤差が最小限に抑えられます。このメータには、各位相に 6 つの主要なキャリブレーション係数があります。電圧スケーリング係数、有効電力オフセット (GUI では電圧 AC オフセットと表示されていますが、これは誤りです)、電流スケーリング係数、無効電力オフセット (GUI では電流 AC オフセットと表示されていますが、これは誤りです)、電力スケーリング係数、位相補償係数です。電圧、電流、電力のスケーリング係数は、計測ソフトウェアで測定された数量を、それぞれボルト、アンペア、ワット単位で表される実際の値に変換したものです。電力オフセットは、電圧から電流へのクロストークを減算するために使用されます。この値は一定の電力オフセットとして現れ、低電流で誤差が大きくなります。オフセット・キャリブレーションは、この特定の設計のテストには使用されないことに注意してください。最後のキャリブレーション係数は位相補償係数で、電流センサや他の受動部品によって生じる位相シフトを補償するために使用されます。電圧、電流、電力のキャリブレーション係数は互いに独立していることに注意してください。したがって、電圧のキャリブレーションを行っても、RMS 電流または電力の測定値に影響しません。
メータ・ソフトウェアを初めて MSPM0G3507 デバイスにフラッシュ書き込みすると、これらのキャリブレーション係数にはデフォルト値がロードされます。キャリブレーション係数または値は、キャリブレーション中に GUI で変更します。キャリブレーション係数は、MSPM0+ MCU のフラッシュにある最後のセクタにも保存されるため、メータを再起動したときにも同じ値が維持されます。
これらの設定は、次のいずれかの方法で、mspm0g3507.cmd ファイルに定義されます。
#define CALIBRATION_START_ADDR (TOTAL_FLASH_SIZE - TOTAL_FLASH_SIZE)
また、キャリブレーションを行うとき、最後のフラッシュ・セクタに対して何回も読み取り / 書き込み操作が行われるため、5 つのフラッシュ・アクセス・ルーチンはすべて RAM 領域に配置する必要があります。
これは、「flash_M0G.h」ファイル内のコンパイラ・ディレクティブを使用して行います。例:
void __attribute__((section(".ramfunc"))) flash_clr_calibration(void);
MSPM0+ MCU のフラッシュ・メモリは 64 ビット・アライメントなので、フラッシュ・メモリ内のデータも、「mspm0g3507.cmd」ファイルに示されているように、すべて 64 ビット・アライメント、すなわち palign(8) です。
.rodata : palign(8) {} > FLASH
.caldata : palign(8) {} > CALIBRATION
いずれかのスケーリング係数のキャリブレーションを、ゲイン補正と呼びます。位相補償係数のキャリブレーションは、位相補正と呼びます。キャリブレーション・プロセスの全体を通して、AC テスト・ソースをオンにし、メータの接続を図 4-2 と一貫させ、エネルギー・パルスをリファレンス・メータに接続しておく必要があります。