設計目標

設計の説明

この回路は 2 個のオペアンプを使用して、単一電源で動作する、差動入力、差動出力のディスクリート アンプを 1 個形成しています。この回路は、差動入力信号を差動出力信号に変換します。

デザイン ノート

1. 高い DC 同相除去性能を維持するため、高精度抵抗を使い、R₁ と R₂ をよく一致させます。
2. 熱ノイズ性能を犠牲にして必要な入力インピーダンスを一致させるには、R₄ と R₅ を増やします。
3. 単一電源動作のためのバイアスは、V_cc とグランドとの間に接続された分圧器でも生成できます。
4. V_ref は計測アンプ バイアスの出力電圧を電源電圧の 1/2 に設定し、出力が両方の電源レールまでスイングできるようにします。
5. 下限カットオフ周波数を設定するため、C₁ と C₂ を選択します。
6. 線形動作は、使用するディスクリート オペアンプの入力同相および出力スイング範囲内であることが条件となります。線形出力スイング範囲は、オペアンプのデータシートの Aol テスト条件に規定されています。

設計手順

1. この回路の伝達関数を次に示します。
   $$\begin{gathered} {\mathrm{V}}_{\mathrm{oDiff}}={\mathrm{V}}_{\mathrm{i}}\times \mathrm{G}+{\mathrm{V}}_{\mathrm{ref}} \\ \mathrm{where} {\mathrm{V}}_{\mathrm{i}}=\mathrm{the} \mathrm{differential} \mathrm{input} \mathrm{voltage} \\ {\mathrm{V}}_{\mathrm{ref}}=\mathrm{the} \mathrm{reference} \mathrm{voltage} \mathrm{provided} \mathrm{to} \mathrm{the} \mathrm{amplifier} \\ \mathrm{G}=1+2\times \left(\frac{{\mathrm{R}}_1}{{\mathrm{R}}_3}\right) \end{gathered}$$
2. 同相除去性能を維持するため、抵抗 R₁ = R₂ を選択します。
   $\mathrm{Choose} {\mathrm{R}}_1={\mathrm{R}}_2=\text{20 }\mathrm{k\Omega } (\mathrm{Standard} \mathrm{value})$
3. 必要な入力インピーダンスを満たすように、抵抗 R₄ および R₅ を選択します。
   $\mathrm{Choose} {\mathrm{R}}_4={\mathrm{R}}_5=\text{10 }\mathrm{k\Omega } (\mathrm{Standard} \mathrm{value})$
4. 差動ゲインを設定するための R₃ を計算します。
   $$\begin{gathered} \mathrm{Gain}=1+\left(\frac{2\times {\mathrm{R}}_1}{{\mathrm{R}}_3}\right)=\text{5 }\frac{\mathrm{V}}{\mathrm{V}} \\ {\mathrm{R}}_1 ={\mathrm{R}}_2= \text{20 }\mathrm{k}\Omega \\ \mathrm{G}=1+\frac{{\displaystyle 2\times \text{20 }\mathrm{k\Omega }}}{{\displaystyle {\mathrm{R}}_3}}=\text{5 }\frac{{\displaystyle \mathrm{V}}}{{\displaystyle \mathrm{V}}}\to \text{5 }\frac{\mathrm{V}}{\mathrm{V}}-1=\frac{{\displaystyle \text{40 }\mathrm{k\Omega }}}{{\displaystyle {\mathrm{R}}_3}}=4\to {\mathrm{R}}_3=\frac{{\displaystyle \text{40 }\mathrm{k\Omega }}}{{\displaystyle 4}}=\text{10 }\mathrm{k\Omega } (\mathrm{Standard} \mathrm{value}) \end{gathered}$$
5. 基準電圧 V_ref を電源電圧の 1/2 に設定します。
   ${\text{V}}_{\mathrm{ref}}=\frac{{\mathrm{V}}_{\mathrm{cc}}}{2}=\frac{\text{5 }\mathrm{V}}{2}\to {\mathrm{V}}_{\mathrm{ref}}=2.5\mathrm{V}$
6. 下限カットオフ周波数を設定するため C₁ および C₂ を計算します。
   $$\begin{gathered} {\text{f}}_{\mathrm{c}}=\frac{1}{2\times \mathrm{\pi }\times {\mathrm{R}}_4\times {\mathrm{C}}_1}=\text{16 }\mathrm{Hz} \\ {\mathrm{R}}_4={\mathrm{R}}_5=\text{10 }\mathrm{k\Omega } \\ {\mathrm{f}}_{\mathrm{c}}=\frac{1}{2\times \mathrm{\pi }\times \text{10 }\mathrm{k\Omega }\times {\mathrm{C}}_1}=\text{16 }\mathrm{Hz}\to {\mathrm{C}}_1=\frac{1}{2\times \mathrm{\pi }\times \text{10 }\mathrm{k\Omega }\times \text{16 }\mathrm{Hz}}=0.99\mathrm{\mu F}\to {\mathrm{C}}_1={\mathrm{C}}_2=1\mathrm{\mu F} (\mathrm{Standard} \mathrm{value}) \end{gathered}$$

設計シミュレーション

AC シミュレーション結果

次の図で、下限 -3dB カットオフ周波数が約 16Hz で、上限カットオフ周波数は 1MHz を超え、設計の要求を満たしていることに注意してください。

過渡シミュレーション結果

参考資料

テキサス・インスツルメンツ、SBOMAU5 SPICE シミュレーション、ファイル ダウンロード

設計に使用されているオペアンプ

設計の代替オペアンプ