現在の世界では、IoT とホーム・セキュリティの交差から、さまざまなホーム・セキュリティ・ソリューションが生まれています。その最先端の 1 つはドア・センサと窓センサで、通常はリード・スイッチを使用して特定の場所での開閉イベントを検出します。このレポートでは、リード・スイッチに代わる方法として、ホール効果スイッチおよび 3D ホール効果センサという 2 つの検出ソリューションを紹介し、それらのソリューションによって設計を改良する方法について解説します。このドキュメントでは、リード・スイッチ、低消費電力のホール効果スイッチ DRV5032、および TMAG5170 の性能を比較します。TMAG5170 は 3D ホール効果センサで、3 軸のリニア出力があるため、リード・スイッチやホール効果スイッチよりも改ざん検出機能が強化され、機械的な柔軟性が増し、バイナリ出力が改良されています。また、このアプリケーション・ノートでは、3 種類のデバイスすべての性能と改ざんの受けやすさを評価し、それぞれの長所と短所を示します。
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ドアや窓のセンサは、あらゆるホーム・セキュリティ・システムのバックボーンとなるもので、家庭なオフィスでどのドアと窓が開いており、どれが閉じているかの監視を目的としています。これらのデバイスの大半はバッテリで動作し、ドアや窓が開いている / 閉じているかどうかに関する情報を、メイン・セキュリティ・システムのハブに通知します。アラームがオンのときにドアや窓が開いたり、破られたりするイベントが発生した場合、センサはメイン制御パネルにアラート信号を送信し、メイン・アラームを直ちにトリガします。
ドアや窓のセンサの内部動作を詳しく調べると、このデバイスの機能と明らかに不可分なデバイス、すなわち強磁性感度を持つデバイスが存在することが分かります。単純なリード・スイッチやホール効果センサも使用できますが、設計でどちらを、どのような理由で使用すべきでしょうか。
このドキュメントの以後のセクションでは、一般的なリード・スイッチ、DRV5032、TMAG5170 の概要について説明し、性能や改ざんの受けやすさという観点から、テストと結果に基づいて比較します。
リード・スイッチは、現在のドアや窓のセンサに最も一般的に使用されている部品の 1 つでしょう。このスイッチは本質的に、ガラス管に強磁性材料で構成された 2 枚の小さなブレードを入れ、不活性ガスを注入したものです。これらのデバイスには、N.O. (通常オープン) と N.C. (通常クローズ) の構成がありますが、ビル・セキュリティ業界の多くで最も一般的に使用されるのは、通常オープンの接点です。一般的なリード・スイッチと、アプリケーションに適した方法でスイッチを活用する単純な回路を、図 2-1 に示します。
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また、製造後にリード・スイッチの使用に関して問題が発生する可能性もあります。主要な懸念の 1 つは、リード・スイッチの寿命が限られていることです。このデバイスは機械的性質を持つため、物理スイッチの自然な摩耗や破損により、デバイスの寿命が制限されます。
もう 1 つの問題は、使用するペリフェラル回路によって異なるリード・スイッチの消費電力です。スイッチがオープンのとき、スイッチがソース電圧にプルアップされると、このプルアップ・ネットワークに関連して電流が発生します。他の構成では、スイッチがクローズのとき、プルダウンまたはプルアップ抵抗をわずかな電流が通過します。ただし、この消費電力を最小化するために使用できる構成もあります。このような構成を次に示します。
ホール効果センサは、リード・スイッチとは異なり、磁界の検出にも使用できる IC デバイスです。テキサス・インスツルメンツが供給しているホール効果センサのうち、TMAG5273 や TMAG5170 などの一部は、リニア出力で 3D 空間磁気検出も行えます。その他の製品は、特定の軸で磁界が検出されたとき、リード・スイッチと同様にバイナリを出力します。DRV5032 を VCC の 1.8V 電源電圧により、毎秒 5 サンプルで使用する場合、平均消費電流はわずか 540nA で、リード・スイッチの代替として優れた低消費電力のオプションです。
ホール効果センサは、図 3-1 に示すように、磁界 (B) が存在するとき、電流 (I) が通過する導体に発生する電位差 (V) を検出します。
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この電気物理特性を IC に統合することで、リード・スイッチと同様に磁界を検出できます。次に示す DRV5032 の回路図は、マイクロコントローラを使用してデバイスからのバイナリ出力を検出する、このアプリケーションの例です。検出距離は、製品で利用可能な磁気スレッショルド感度のバリエーションによって調整できます。このドキュメントに記載されているテストでは、デバイスの全極性 FB バージョンを TO-92 パッケージで使用しています。このデバイスの詳細については、TI.com の DRV5032 製品ページを参照してください。DRV5032 のようなホール効果スイッチは、単純なオープンとクローズのステータスで十分なアプリケーションに適しています。また、このデバイスは非常に低消費電力で、毎秒 5 サンプルなら消費電流はナノアンペア単位です。バッテリ駆動のアプリケーションでは、できる限りの消費電力低減が必要なため、この低消費電力が非常に有用です。DRV5032 のアプリケーションの例を、図 3-2 に示します。
より詳細な検出シナリオに適した、もう 1 つの優れたオプションは、TMAG5170 や TMAG 5273 などのリニア 3D ホール効果センサです。TMAG5170 は、このドキュメント全体を通してテストに使用されています。これらのデバイスは、3 軸の検出が必要な、または望ましい、より高度な検出方式に適しています。3 軸デバイスを活用すると、通常使用の磁気出力をアクティビティのリファレンス・ポイントとして使用し、3 つの平面すべてで改ざんを検出できます。通常のアイドル状態を想定して、デバイスからのリニア出力が変動していることが示された場合、デバイス所有者にアラートを送信して、その特定のドアや窓について異常な状態がセンサによって検出されたことを通知します。コンパニオン・ホスト・マイクロコントローラを使用する TMAG5170 のアプリケーション例を、図 3-3 に示します。
リニア 3D ホール効果センサは、図 3-4 に示すような位置に取り付けられ、取り付け位置の変動を必要とするセンサにも適しています。ここでは、ドア・フレームがドア自体から持ち上げられることで、X 軸と Y 軸の両方にデルタ距離が発生します。この場合にはリード・スイッチも使用可能ですが、磁石の距離と方向の関係で、配置の制限が厳しくなります。3 軸の TMAG デバイスには、ドア・フレームから追加されるオフセットによる磁石の特殊な位置を検出する機能があります。
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