JAJT282 February 2024 TPS62873 , TPS62876-Q1 , TPSM8287A10 , TPSM8287A12 , TPSM8287A15
コンスタント オンタイム (COT) 制御トポロジの一般的な欠点は、スイッチング周波数が変動することと、外部クロックとの同期が不可能なことです。パワー セーブ モードへのシームレスな移行が可能なテキサス・インスツルメンツの固定周波数直接制御 (固定周波数 DCS-Control) トポロジは、過渡応答が高速な COT DCS-Control トポロジをベースに構築されており、発振器を追加することにより固定周波数動作とオプションのクロック同期機能を実現します。この組み合わせにより、高速過渡応答と特定のノイズ要件または周波数要件の両方を必要とするアプリケーションが可能になります。
他にも差動リモート センシング、外部制御ループ補償、スタッカビリティなどの特長があり、車載インフォテインメントや先進運転支援システム (ADAS)、通信機器の光学モジュール、産業用試験 / 測定、医療、航空宇宙と防衛など、ノイズに敏感なアプリケーションで使用されている大電流プロセッサの厳しい過渡要件に対応できます。この記事では、固定周波数 DCS-Control トポロジの概要を紹介し、その優れた過渡応答、一定で同期可能なスイッチング周波数、低リップルのパワー セーブ モード、大電流向けのスタッカビリティについて説明します。
図 1 に、DCS-Control トポロジの基本ブロック図 [1] を示します。出力電圧センス (VOS) ピンと帰還 (FB) ピンの両方の信号を制御ループに入力することで、適切なレギュレーションを実現します。VOS ピンから出力電圧を直接供給してランプを生成し、それをコンパレータに入力することで、トポロジの高速過渡応答を実現します。このコンパレータの出力が、即座に動作点に影響を与えます。FB ピンは低帯域幅のパスで、高精度の DC 設定点レギュレーションを行います。VOS ピンの AC パスと FB ピンの DC パスを DCS-Control 内で組み合わせることで、正確な出力電圧を供給し、負荷過渡にも迅速に応答します。
DCS-Control などの COT トポロジでは、オン時間はタイマで設定されます。タイマでこのオン時間を入力電圧と出力電圧に合わせて調整することで、パルス幅変調 (PWM) モードでほとんどのデューティ サイクルにおいて、適度に一定の周波数が得られます。 式 1 に例を示します。ここで、 416ns は 2.4MHz スイッチング周波数の周期です。
ただし、特定の周波数帯域内または帯域外での動作を必要とするアプリケーションには、このスイッチング周波数の精度では不十分です。これらのアプリケーションでは通常、電圧または電流モード制御などのように、発振器を使用してスイッチング周波数を設定する必要があり、場合によってはシステム クロック信号と同期できる機能も必要となります。リファレンス [2] に、 DCS-Control の周波数変動の詳細な例が示されています。