コンシューマ機器 / 家電、ビルディング エアコン (HVAC) システム、産業用ドライブのエネルギー消費を考慮し、季節エネルギー効率比 (SEER)、最低エネルギー消費効率基準 (MEPS)、Energy Star、トップランナーなどのプログラムを通じて、システム効率等級を確立する取り組みが進んでいます。
可変周波数ドライブ (VFD) は、正確で非常に広範囲の速度制御を備えている場合は特に、エアコン システムで最高のシステム効率を実現します。VFD は、インバータを使用してモータ速度を制御し、高周波パルス幅変調 (PWM) スイッチングを行うことで、真の可変速度制御を実現します。
これらのインバータは現在、絶縁型ゲート バイポーラ トランジスタ (IGBT) と金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ (MOSFET) をパワー スイッチとして使用して実現されていますが、全体的な損失が大きいため、スイッチング周波数と電力供給には制限があります。ただし、ワイド バンドギャップ技術の進歩に伴い、モーター ドライブで窒化ガリウム (GaN) ベースのパワー スイッチを採用すると、電力密度、電力供給、効率の向上に役立ちます。
Manu Balakrishnan
Systems engineer
Motor drivers
GaN FET に起因する導通損失は、MOSFET と同様に GaN のオン抵抗に比例します。一方、IGBT の場合、導通損失はニー電圧と動的オン抵抗に依存し、一般に GaN FET や MOSFET よりも高くなります。
スイッチング損失に関して、GaN FET は MOSFET や IGBT に比べて損失がはるかに小さくなります。これは、次の理由によります。
図 1 は、GaN、IGBT、MOSFET をそれぞれベースとするソリューションの理論的なインバータ効率の比較を示しています。スイッチング周波数は 20kHz で、GaN ベースのインバータの位相ノード電圧スルーレートは 5V/ns に制限されており、周囲温度は 55℃ です。GaN ソリューションでは電力損失を少なくとも半分に低減できることがわかります。
図 2 は、テキサス・インスツルメンツ (TI) の DRV7308 3 相 GaN インテリジェント パワー モジュール (IPM) と 5A ピーク電流定格の IGBT IPM の効率を比較したものです。スイッチング周波数 20kHz の 300VDC 電源でファン モーターと 2m のケーブルを使用して、周囲温度 25℃ で、0.85A の二乗平均平方根巻線電流と 250W のインバータ出力電力を供給しています。GaN IPM のスルーレートは 5V/ns に構成されています。