JAJA709 November   2021 LM5157 , LM5157-Q1 , LM51571-Q1 , LM5158 , LM5158-Q1 , LM51581 , LM51581-Q1

 

  1.   LM5157x および LM5158x を使用して昇圧コンバータを設計する方法
  2.   商標
  3. 1LM5157 の昇圧設計の例
  4. 2計算と部品の選択
    1. 2.1  スイッチング周波数
    2. 2.2  インダクタの計算
    3. 2.3  勾配補償チェック
    4. 2.4  インダクタの選択
    5. 2.5  ダイオードの選択
    6. 2.6  出力コンデンサの選定
    7. 2.7  入力コンデンサの選択
    8. 2.8  UVLO 抵抗の選択
    9. 2.9  ソフトスタート・コンデンサの選択
    10. 2.10 帰還抵抗の選択
    11. 2.11 制御ループの補償
      1. 2.11.1 クロスオーバー周波数 (fcross) の選択
      2. 2.11.2 RCOMP の選択
      3. 2.11.3 CCOMP の選択
      4. 2.11.4 CHF の選択
    12. 2.12 電力損失と効率の推定
  5. 3実装結果
  6. 4小信号周波数解析
    1. 4.1 昇圧レギュレータの変調器のモデル化
    2. 4.2 補償のモデル化
    3. 4.3 開ループのモデル化

電力損失と効率の推定

昇圧コンバータの合計損失 (PTOTAL) は、デバイスでの損失 (PIC、ただしパワー MOSFET の損失を除く)、MOSFET の電力損失 (PQ)、ダイオードの電力損失 (PD)、インダクタの電力損失 (PL)、検出抵抗での損失 (PRS、以下の説明を参照) の和で表すことができます。(PIC) と (PQ) の和はコンバータ・デバイスの消費電力で、IC の過剰な温度上昇を防止するため、妥当な範囲内で設計する必要があります。

Equation25. GUID-23E791B3-71F1-446B-972D-1B7667A0B1A9-low.gif

PIC は、ゲート駆動損失 (PG) と、静止電流により発生する損失 (PIQ) に分割できます。

Equation26. GUID-CFC5E57C-7A75-4C4E-AFC3-C83244935307-low.gif

それぞれの電力損失は、次のように概算されます。

Equation27. GUID-0A353963-CBCE-4DFE-B134-4EFD427858E4-low.gif
Equation28. GUID-BA406820-65CF-49CE-81D5-E35DB3847474-low.gif

各モードの IBIAS 値は、LM5157x および LM5158x のデータシートに記載されています。

PQ は、スイッチング損失 (PQ(SW)) と、導通損失 (PQ (COND)) に分割できます。

Equation29. GUID-263BE9AC-BDC9-4229-8E61-0C49740A4378-low.gif

それぞれの電力損失は、次のように概算されます。

Equation30. GUID-C932777C-4D52-4C82-948C-4A9A5CD17426-low.gif

tR と tF は、内蔵のパワー MOSFET の立ち上がりおよび立ち下がり時間です。ISUPPLY は、昇圧コンバータの入力電源電流です。

Equation31. GUID-444B11A3-D344-4E99-B299-353B6F2E2C98-low.gif

RDS(ON) は、LM5157x および LM5158x のデータシートに記載されている MOSFET のオン抵抗です。自己発熱による RDS(ON) の増大を考慮に入れてください。

PD は、ダイオードの導通損失 (PVF) と、逆方向回復損失 (PRR) に分割できます。

Equation32. GUID-72FAB8F9-5EFC-4CC3-BCE4-FAE3D912709F-low.gif

それぞれの電力損失は、次のように概算されます。

Equation33. GUID-C790B063-9478-42DF-948F-A352D83649DE-low.gif
Equation34. GUID-990765FB-66B6-403A-9264-74AE210E2DBC-low.gif

QRR はダイオードの逆方向回復電荷で、ダイオードのデータシートに記載されています。ダイオードの逆方向回復特性は、特に負荷電圧が高いとき、効率に大きな影響を及ぼします。

PL は、DCR 損失 (PDCR) と AC コア損失 (PAC) との和です。DCR はインダクタの DC 抵抗で、インダクタのデータシートで言及されています。

Equation35. GUID-EE8FA34E-8E5B-437D-BDD7-9E317477B01A-low.gif

それぞれの電力損失は、次のように概算されます。

Equation36. GUID-A89DB8D9-5C4E-41C4-BEF2-92765014F4F0-low.gif
Equation37. GUID-7F971EC1-D61E-418F-9330-4B008657DB35-low.gif
Equation38. GUID-C5967F64-156D-4433-9778-F14C493AD705-low.gif

ΔI は、ピーク・ツー・ピークのインダクタ電流リップルです。K、α、β はコアに依存する係数で、インダクタの製造業者から提供されます。

LM5157x および LM5158x に実装されている電流検出機能では、検出抵抗と電力損失 PRS は無視されます。

電力コンバータの効率は、次のように推定できます。

Equation39. GUID-FB154740-0CE3-436B-8FB6-85A9C7941B8C-low.gif