JAJA709 November 2021 LM5157 , LM5157-Q1 , LM51571-Q1 , LM5158 , LM5158-Q1 , LM51581 , LM51581-Q1
昇圧コンバータのインダクタンス値は、インダクタの電流リップル比 (RR、平均インダクタ電流に対するピーク・ツー・ピーク・リップル電流として定義) を使用して計算できます。インダクタンス値の選択を左右する主な検討事項は、電力損失、インダクタ電流の立ち下がり勾配、制御ループの右半面 (RHP) ゼロ周波数 (ωZ_RHP) の 3 つです。
最大リップル比が 30%~70% の場合、上記の検討事項の間で適切なバランスを取ることができます。この例では、インダクタ電流の最大リップル比が 60% に設定されています。連続導通モード (CCM) 動作では、デューティ・サイクル が 33% (DmaxΔIL=0.33) のときリップル比が最大になり、デューティ・サイクルが 33% のときの電源電圧はEquation2 で計算されます。
ここで
目的のリップル比である VSUPPLY_maxΔIL とスイッチング周波数が判明していれば、Equation3 を使用して1.6A 負荷でのインダクタンスの値を計算できます (VSUPPLY = 6V~9V)。
ここで
0.8A の負荷ケース (VSUPPLY = 3V~6V) で、デューティ・サイクルが 33% にならない場合、最大電源電圧 (6V、デューティ・サイクル = 0.5) を使用して最大リップル比を計算します。インダクタの値の計算には、Equation4 が使用されます。
両方の領域の要件を満たすために、LM の値として標準インダクタンスである 1.5μH を選択します。電源電圧が最小値 VSUPPLY_min で、最大負荷電流 ILOAD_max のとき、ピーク・インダクタ電流が最大になります。ピーク・インダクタ電流は、Equation5 とEquation6 を使用して計算します。ここでも 2 つの領域が別々に計算され、大きい方が最大値になります。
ここで
ピーク・インダクタ電流を使用して、LM5158、LM51581、LM5157、LM51571 のいずれかのデバイスを適切に選択します。それぞれの電流制限については、データシートを参照してください。部品の公差とレギュレータの電力損失があるため、計算されたピーク・インダクタ電流よりも多少の余裕を持たせてピーク電流制限を選択します。この例では、15% のマージンを考慮して、LM5157 デバイスを選択しています。