測定データによると、現金輸送ベルトで使用される代表的なステッパ・モーターでは、40ms ごとに約 300mNm の頻度で負荷トルクの変化が生じます。
ラボでは、このようなステッパ・モーターの 1 つに、300mNm/40ms の頻度で 176mNm と 1.46Nm の負荷トルク過渡を加えました。ピーク負荷のオン時間は 500ms、ピーク負荷イベントの間隔は 4.5s でした。これは、デューティ・サイクル 10% のピーク負荷に対応します。
このモーターでは、自動トルク学習ルーチンは、次のパラメータ値を使用して、無負荷で実行されました。
- ATQ_LRN_MIN_CURRENT = 00110b
- ATQ_LRN_STEP = 11b
- ATQ_LRN_CYCLE_SELECT = 11b
#GUID-09540166-FEC8-4505-BA0D-F819279D80CD に、このモーターの学習ルーチンのスナップショットを示します。
ATQ_LRN パラメータの結果の値は次のとおりです。
- ATQ_LRN_CONST1 = 83
- ATQ_LRN_CONST2 = 120
電流制御と PD ループ制御のパラメータは、次のように選択しました。
- ATQ_TRQ_MAX = 120
- ATQ_TRQ_MIN = 35 (現金が輸送されていないときにモーターに供給する必要がある電流に対応)
- ATQ_UL = 45
- ATQ_LL = 43
- ATQ_LL = 43
- ATQ_FRZ = 1
- ATQ_AVG = 0
#X7023~#FIG_IYK_BDJ_FWB に、負荷トルクが変化した際の出力電流と電源電流の波形 (自動トルクあり / なし) を示します。
図 3-2 負荷がある状態とない状態の ATM モーターの動作、自動トルクなし 図 3-4 負荷がある状態とない状態の ATM モーターの動作、自動トルクあり 図 3-3 負荷がある状態とない状態の ATM モーターの動作、自動トルクなし 図 3-5 負荷がある状態とない状態の ATM モーターの動作、自動トルクあり
これらの波形に示すように、自動トルクありの消費電流はかなり小さいです。ラボでの測定に基づく値を以下に示します。
- 自動トルクなしでの消費電力 = 24V * 885mA = 21.24W
- 自動トルクありでの消費電力 = 24V * 402mA = 9.65W
- これは、指定された負荷プロファイルでこのモーターの消費電力が 55% 節約されることを示しています。
モーター内の電力損失を以下に示します。
- 自動トルクなしでのモーターの電力損失 = (2.8A * 2.8A * 1.5Ω) = 11.76W
- 自動トルクありでのモーターの電力損失= = (0.1 * 2.8A * 2.8A + 0.9 * 0.85A * 0.85A) * 1.5Ω = 2.15W
- これは、モーター・コイルの発熱が 82% 低減されることに相当し、寿命の延長と長期的な信頼性の向上につながります。