JAJT343 August   2024 TPS1200-Q1 , TPS1211-Q1

 

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  2. 1はじめに
  3. 2出力電圧スルーレート制御機能
  4. 3並列プリチャージ経路
  5. 4PWM に基づく、容量の自動充電
  6. 5設計上の考慮事項とテスト結果
  7. 6まとめ
  8. 7参考資料
  9. 8関連ウェブサイト

設計上の考慮事項とテスト結果

50A 負荷を想定した次のシステム設計例を考えます。

  • バッテリ電圧 (VBATT) = 12V。
  • 負荷容量 (CLOAD) = 5mF。
  • 1.5m のケーブル = 8AWG でハイサイド ドライバを ECU に接続 (Lcable = 2.25µH)。
  • 充電時間 (Tcharge) = 10ms
  • フリーホイール ダイオード電圧降下 (VD1) = 0.7V。

この設計では、ISCP および TAUTO-RETRY パラメータを選択する必要があります。50A 負荷設計の場合、ISCP スレッショルドは通常、最大負荷電流よりも 20% 大きい値に設定されるため、この例では 50A × 1.2 = 60A とします。

ここで、TAUTO-RETRY を計算するには、図 6 を参照し、中点 (Tcharge/2) でのコンデンサの電流と電圧の関係を使って、次の式 6 を求めます。

式 6.   I s t a r t +   I m i d 3 ×   T c h a r g e 2 =   C L O A D   × V B A T T 2

ここで

式 7. I s t a r t = I S C P × T O N 1 + T O F F 1 2 × T O N 1 + T A U T O - R E T R Y

および

式 8. I m i d = I S C P × 2   ×   T O N _ m i d 2 × T O N _ m i d + T A U T O - R E T R Y

時間間隔 TON1、TOFF1、TON_mid は、式 9式 11 を使って次のように計算できます。

式 9. T O N 1 = L c a b l e × I S C P V B A T T
式 10. T O F F 1 = L c a b l e × I S C P V D 1
式 11. T O N _ m i d = L c a b l e × I S C P V B A T T 2

既知のパラメータ VBATT、Lcable、ISCP、VD1、CLOAD を代入し、TAUTO-RETRY について解くと、10ms の充電時間を達成するためのリトライ遅延 (200µs 未満) が求まります。

図 8図 9 に、TPS1211-Q1 ハイサイド ドライバを使って 5mF の負荷容量を充電するためのアプリケーション回路図とテスト構成を示します。TAUTO-RETRY は 180µs であるため、充電時間は 7ms となります (図 10 を参照)。

 容量性負荷を駆動するための代表的なアプリケーション回路図。図 8 容量性負荷を駆動するための代表的なアプリケーション回路図。
 TPS1211-Q1 評価基板と 1.5m ケーブル ハーネスを使用したテスト構成。図 9 TPS1211-Q1 評価基板と 1.5m ケーブル ハーネスを使用したテスト構成。
 TPS1211-Q1 をスイッチング モードで使用し、5mF の負荷容量で起動。図 10 TPS1211-Q1 をスイッチング モードで使用し、5mF の負荷容量で起動。