JAJT343 August 2024 TPS1200-Q1 , TPS1211-Q1
図 5 に示すように、PCB のハイサイド ドライバ出力は 1m~数 m の長いケーブルを介してリモート ECU に接続されています。たとえば、50A ワイヤ (8AWG) ハーネスは、2mΩ/m、1.5µH/m の特性を持っています。D1 ダイオードは、ケーブル ハーネスの誘導電流のためのフリーホイール経路を形成するシステム設計の一部です。ハイサイド ドライバは、短い (1µs 未満) ターンオンおよびターンオフ時間で並列 FET を駆動できる強力なゲート駆動出力を備えており、過電流および短絡保護機能も備えています。ケーブルの寄生素子、D1 ダイオード、ハイサイド MOSFET は、代表的な降圧レギュレータ構成を形成しています。
起動中、充電されていない出力コンデンサには突入電流が流れ込み、その突入電流が短絡保護スレッショルド (ISCP) に達すると、短絡イベントがトリガされます。ハイサイド ドライバは電力経路をターンオフし、リトライ期間 (TAUTO-RETRY) 後にターンオンを再開します。このプロセスは、出力容量が完全に充電されるまで続き (図 6 を参照)、その後ハイサイド ドライバは通常動作に移行して、負荷を駆動します。
図 7 に、制御動作を示します。図に示すように、この方法には 2 つの変数 (ISCP と TAUTO-RETRY) があり、入力電圧 (VIN)、負荷容量、必要な充電時間に基づいて、ハイサイド ドライバ用に設定する必要があります。より大きい ISCP スレッショルドまたはより短い TAUTO-RETRY 遅延は、より速い出力充電を可能にし、このソリューションを、どのような負荷容量値に対しても使えるものにします。
このソリューションは、一般的なハイサイド ドライバ システムで利用可能な既存の素子 (ケーブル ハーネスのインダクタンスと D1 ダイオード) を利用し、ハイサイド MOSFET をスイッチング モードで動作させることで、高効率の充電方法を実現しています。従来の方法とは異なり、提案ソリューションはもはや FET の SOA に依存せず、大型のプリチャージ抵抗もプリチャージ FET およびドライバも必要としません。本ソリューションは、ハイサイド ドライバの固有の短絡保護機能を利用して、いかなる外部制御信号も複雑なアルゴリズムも使わずに自律的に動作します。