JAJY135C February 2022 – October 2024 DP83TG720R-Q1 , DP83TG720S-Q1 , TCAN1043A-Q1
今日の E/E アーキテクチャは、主にドメイン・アーキテクチャを採用し、電子制御ユニット (ECU) を編成して、パワートレイン・ドメインなど特定のドメインにまとめます。これに対して、ゾーン・アーキテクチャは、すべてまたは多くのドメインの機能を、自動車の中での場所 (ゾーン) に基づいてグループ化します。
自動車の機能をグループ化するドメインとゾーンの方法を、図 1 に示します。車両コンピューティングと呼ばれる、中央演算ノードを含むゾーン・アーキテクチャの詳細なビューを、図 2 に示します。
ドメインからゾーン・アーキテクチャへのこの変換により、センサとアクチュエータを集中型の車両コンピューティング・ノードから独立できます。すなわち、ハードウェアとソフトウェアの更新サイクルが別でも問題ないし、車両のいくつもの設計サイクルにおいて、同じセンサとアクチュエータの設計を使用してもかまわないということです。さらに、ゾーン・アーキテクチャを採用すると、ECU の数とケーブルの長さが減少し、車両のアーキテクチャ、および関連するシステム検証作業が簡素化されます。
ゾーン・アーキテクチャにより、OEM は、ワイヤレス更新による高レベルのソフトウェア保守、ファームウェアのワイヤレス (FOTA) 更新、常時オンのクラウド接続、新機能の実現、自律運転などの機能の改善といった、より細かい制御を行うことができます。また、これによって OEM はリアルタイム制御ループをゾーン・モジュールに移行するなど、サービス・ベースのソフトウェア構造に移行できます。さらに、ゾーン・モジュールを使用すると、より最適化されたパワー・ディストリビューション・トポロジを実現でき、使用されていないモジュールの電源をオフにすることもできます。これは、バッテリ駆動の電気自動車やハイブリッド電気自動車で特に有利です。
ゾーン・アーキテクチャによって劇的な改善が可能性になる一方で、パワー・ディストリビューション、センサとアクチュエータ、データ・プレーンのトポロジの分野に課題もあります。パワー・ディストリビューションは、集中型の実装から、ゾーン・モジュールに含まれるスマート・ヒューズを使用する非集中型の実装に移行します。センサとアクチュエータは、スマートなものになります。制御ループを含む一部の機能がゾーン・モジュールに移行することで、信号ベースの通信と比べてサービス・ベースの通信を増やせるようになります。最後に、データ通信は高速ネットワークを経由して行われ、新しい物理層 (PHY) がさまざまなデータ・タイプを送信します。