JAJY138A November 2023 – November 2024 ADC12DJ5200RF , ADS127L11 , BQ79731-Q1 , REF35 , REF70 , TPS62912 , TPS62913 , TPS7A20 , TPS7A94 , TPSM82912 , TPSM82913
多くの種類の電圧リファレンスは、超低ノイズの電圧レベルを実現しています。ただし、埋め込みツェナー電圧リファレンスは、特にノイズが低いことで際立っています。埋め込みツェナー電圧リファレンスは通常、出力電圧を生成するためにゲインを必要としません。これにより、ノイズが低減します。埋め込みツェナー電圧リファレンスは、多くの場合、高精度システムに「ゴールデン」電圧レベルを供給するために使用されます。図 8 に示すように、電圧リファレンスは、キャリブレーションに、または DAC11001B などの超高精度データ コンバータで使用されます。
埋め込みツェナー デバイスをキャリブレーションに使用する場合は、温度ドリフト、長期ドリフト、およびノイズという 3 つの主要なパラメータについて考慮することが重要です。キャリブレーション時にシステムのデータ コンバータは、REF80 などの埋め込みツェナー電圧リファレンスから供給される安定した低ノイズ電圧を使用して、ADC または DAC のゲイン誤差とオフセット誤差を決定します。REF80 は、0.16ppmp-p という超低ノイズ仕様を誇っています。正確なキャリブレーションのためには、電圧レベルが時間の経過や温度の変化に伴って変動してはなりません。また、キャリブレーション中に観測される誤差を効果的に補償できるように、供給される値は低ノイズでなければなりません。
REF80 を DAC11001B と組み合わせて使用する場合は、良好な動的性能を確保するためにバッファリングする必要があります。これらのバッファにより、リファレンス回路の、そしてシグナル チェーン全体のノイズが増加します。このため、低ノイズを維持するには低ノイズ オペアンプを使用する必要があります。OPA828 は、1kHz 時のノイズが 4nV/√Hz の低ノイズ オペアンプで、リファレンス バッファ回路でよく使用されます。
REF80 からのノイズがほぼ電圧リファレンスからしか発生しないようにするには、低ノイズ・低ドロップアウト (LDO) を使用して REF80 に電力を供給することも重要です。REF80 は、内蔵ヒーターを搭載しているという点でユニークです。このヒーターは、周辺環境に関係なく、ダイを一定の温度に保持します。このヒーターにより、REF80 の低ドリフト仕様が実現されます。ヒーターとリファレンス電力は相互に分離されています。このため、ヒーター (HEATP) と VDD (ドレイン供給) の両方に電源が必要です。図 9 に、REF80 のピン配置を示します。
REF80 のヒーターは通常、起動時に最大 335mA を消費し、18mA~75mA にセトリングします。一方、VDD は通常、15mAの静止電流のみを必要とします。また、REF80 の電圧出力 (REF_Z) のノイズは、ヒーターではなく埋め込みツェナー回路に応じて決まります。REF80 のアーキテクチャでは、埋め込みツェナー リファレンスのみが出力ノイズに大きな影響を与え、ヒーターの影響は最小限にとどまります。図 10 に、簡素化されたブロック図を示します。
したがって、ノイズを可能な限り低く抑えるには、埋め込みツェナー リファレンスに電力を供給する VDD ピンで低ノイズの LDO を使用して電力を供給する必要があります。REF80 評価基板の REF8EVM では、広い入力電圧、超低ノイズの LDO である TPS7A49 が VDD に使用されています。ヒーターの場合は、電流出力は大きいものの、ノイズが大きい LM317 が使用されます。図 11 に、REF8EVM 電源構成のブロック図を示します。
また、1 つの LDO を VDD とヒーターの両方に使用するオプションもあります。これが必要な場合、別のお勧めのオプションは TPSA4701 です。TPSA4701 は、超低ノイズかつ大きな出力電流で VDD と HEATP の両方に電力を供給できます。
最高精度のテクノロジとアプリケーションを求めている場合、埋め込みツェナー電圧リファレンスは検討すべき最適な選択肢の 1 つです。シグナル チェーンおよびキャリブレーションのノイズが主な懸念となっている状況では、REF80 などの低ドリフトで低ノイズの埋め込みツェナー デバイスが不可欠です。