JAJA718A august 2022 – may 2023 DRV5032 , TMAG5131-Q1 , TMAG5170 , TMAG5170-Q1 , TMAG5170D-Q1 , TMAG5173-Q1 , TMAG5273
ユーザー・インターフェイス用のダイヤルとノブは従来、ロータリー・エンコーダまたはポテンショメータを使用して、回転角または絶対角度の変化を判定していました。これらの方法では内部に金属接触部があるため、時間の経過とともに磨耗し、寿命の長いアプリケーションで故障の原因となるおそれがあります。
システム内の電気機械式接点の数を減らすと、故障の原因となる箇所が減り、より信頼性の高い設計を実現できます。電気機械式の接点を使用するダイヤルは、ホール効果センサや磁石など、他の非接触型の部品を使用するダイヤルよりも寿命が短くなる可能性があります。
磁気センサを使用してダイヤルを実装する方法はいくつかありますが、CORDIC (座標回転デジタル・コンピュータ) 計算機能を内蔵したセンサを使用すると、レジスタの通知によって角度位置データが得られるため、データを外部で処理する必要がなくなり、設計プロセスを簡素化できると同時に正確な結果が得られます。CORDIC 機能を持たないセンサを使用する場合は、磁界強度のみを提供するセンサに対して、マイコンで計算を実行して磁石の角度を決定する必要があります。また、ホール効果センサには、さまざまなフルスケール測定範囲が用意されており、さまざまな磁石を使用できます。
このホワイト・ペーパーでは、磁気センサについて簡単に紹介し、非接触型ダイヤル・アプリケーションでの磁気センサの使用方法と、非接触型方式の利点について説明します。
ヒューマン・マシン・インターフェイス (HMI) システムにダイヤルを実装する場合、一般的にはポテンショメータまたはロータリー・エンコーダを使用します。いずれのシステムにも内部接点があり、接点の変化によって回転信号を出力します。
ポテンショメータには、抵抗性素子と、素子に沿って移動するスライド式の接点があります。ポテンショメータの回転に応じて抵抗が変化するため、回転の変化を判定できます。ポテンショメータは比較的低価格で、実装に必要な接点は一般にわずか 3 つです。
ロータリー・エンコーダは、絶対角度または増分角度の変化を測定します。電気機械式ロータリー・エンコーダは、プリント基板上のトラックと、エンコーダの回転に応じて移動する接点ブラシを使用して構築されています。ロータリー・エンコーダは、電気機械式と非接触型のどちらの検出システムにも実装できるため、技術の違いが原因でコストにばらつきが生じます。
ただし、ポテンショメータと電気機械式ロータリー・エンコーダのどちらにも、磨耗や破損という大きな問題があります。接点が他の電気的要素の上を移動するうちに、時間の経過に伴って接点が破損することがあります。その結果、性能の低下や、最終的には動作の停止に至ります。何らかの機能が失われると、電気機械式ロータリー・エンコーダやポテンショメータを搭載した製品の修理または交換が必要になります。磁気、誘導性、または光学方式を使用して回転検出を実行すれば、製品寿命の短縮をもたらす故障の原因となる箇所は減りますが、追加の部品が必要になるため、実装コストが高くなります。磁気式の回転検出では、回転の変化を判定するための磁石とセンサが必要になります。そのための選択肢の 1 つは、磁界の強度を測定するホール効果センサです。