JAJY115A september 2020 – september 2020 DRV8889-Q1 , LM5160-Q1 , TMS320F2800152-Q1 , TMS320F2800153-Q1 , TMS320F2800154-Q1 , TMS320F2800155 , TMS320F2800155-Q1 , TMS320F2800156-Q1 , TMS320F2800157 , TMS320F2800157-Q1 , UCC27712-Q1
このホワイトペーパーでは、48V、400V、または 800V の HEV/EV に搭載される新しい冷暖房制御モジュールについて説明します。その次に、これらのモジュールに固有のサブシステムについて、システム図と例を交えて説明します。最後に、貴社の実装計画の着手に役立つよう、これらのサブシステムの機能的なソリューションを改めて説明します。
ICE を搭載した車では、エンジンが冷暖房システムの基盤となっています。図 1 に、この概念を示します。
冷房の場合は、送風機からの空気が蒸発器に流れ込み、そこで冷媒によって空気が冷やされます。次に、エンジンにより駆動される空調 (AC) コンプレッサによって冷媒が圧縮され、蒸発器から排出されます。
同様に、暖房の場合は、エンジンにより生成された熱が冷却剤に送られます。この温かい冷却材がヒーターの中心部に流れ込んで空気を温め、温められた空気がキャビンに吹き込まれます。このように、エンジンは車のキャビンの冷暖房において基本的な役割を果たしています。
HEV/EV で燃焼エンジンの小型化や省略化を図るためには、図 2 に示すように、HVAC システムで重要な役割を果たす 2 つの部品を別途導入する必要があります。
これらの部品を除けば、冷暖房システムのインフラの残りの部分は ICE 搭載車と同じです。前述のように、BLDC モーターと PTC ヒーターまたはヒート・ポンプは、エンジンがない場合に必要であり、消費電力、モーターと抵抗ヒーターの制御、および HVAC 全体の制御において別の課題をもたらします。
高電圧 HEV/EV では、BLDC モーターと PTC ヒーターの両方で高電圧電力が使用されます。AC コンプレッサは 10kW もの電力を必要とする場合があり、一方で PTC ヒーターは 5kW もの電力を消費する場合があります。
図 3 および 図 4 はそれぞれ、AC コンプレッサの BLDC 制御モジュールと PTC ヒーター制御モジュールのブロック図です。これらのブロック図が示すように、どちらも AC コンプレッサの BLDC モーターと PTC ヒーターが高電圧バッテリから電力を供給されていることがわかります。また、これらのモジュールではどちらも、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ (IGBT) と対応するゲート・ドライバを使用して、BLDC モーターと PTC ヒーターへの電力を制御しています。
さらに、図 3 および 図 4 では、両方の制御モジュールにおける残りのサブシステム間の類似点も示しています。どちらのシステムにも、電源サブシステム、ゲート・ドライバ・バイアス電源、マイクロコントローラ (MCU)、通信インターフェイス、および温度 / 電流監視機能が組み込まれています。
通信用のトランシーバや電流測定用の増幅器など、これらの制御モジュールで使用されるサブシステムの多くは、他の冷暖房制御モジュールで使用されているサブシステムと同様です。ただし、電源サブシステムとゲート・ドライバ・サブシステムは、車の冷暖房システムにおけるこれらの制御モジュールに固有のものです。これらのサブシステムは高電圧ドメインへのインターフェイスだけでなく低電圧ドメインへのインターフェイスにもなっています。
この後このホワイトペーパーでは、これらのサブシステムに使用される回路トポロジの機能ブロック図について説明します。回路トポロジの選択にあたっては、サブシステムの機能性だけでなく、効率、電力密度、電磁干渉 (EMI) といったシステム設計上の要件も達成する必要があることに注意してください。