設計目標
バッテリ電圧レベル (VBAT) |
コンパレータの出力状態 (OUT) |
低電圧 (VLOW) |
スタートアップ動作電圧 (VHIGH) |
バッテリ低下 |
通常動作 |
< 2.000V |
> 2.034V |
VOL < 0.4V |
VOH = VPU = 1.8V |
設計の説明
この低電圧保護回路は、高精度の基準電圧を内蔵した 1 つのコンパレータを使用して、バッテリ電圧が 2.0V より低下したとき、コンパレータ出力 (OUT) にアラート信号を生成します。この実装の低電圧アラートはアクティブ Low です。バッテリ電圧が 2.0V より低下した場合、コンパレータの出力が LOW になり、出力を監視しているデバイスに対してアラート信号を送ります。コンパレータにはヒステリシスが組み込まれており、バッテリ電圧が 2.034V を上回ると、コンパレータ出力が論理 High 状態に戻ります。この回路は、オープン ドレイン出力のコンパレータを利用して、デジタル論理入力ピンの制御用に出力 High 論理レベルをレベル シフトします。MOSFET スイッチのゲートを駆動する必要があるアプリケーションでは、プッシュプル出力のコンパレータをお勧めします。
デザイン ノート
- 高精度の基準電圧を内蔵したコンパレータを選択します。
- レベル シフトのため、オープン ドレイン出力段を持つコンパレータを選択します。
- 抵抗分圧器の値は、コンパレータへの入力 (IN) がコンパレータの負方向入力スレッショルド電圧 (VIT-) に達したとき、致命的な低電圧レベルを示すアラートが生成されるように選択します。
設計手順
- VBAT が対象の低電圧レベル (VLOW) である 2.0V に低下したとき、コンパレータへの入力が VIT- と交差するよう、必要な抵抗分圧器の比を計算します。TLV4021R1 データシートでは、VIT- は 1.18V です。
- 低電圧アラート信号がアサートされる電圧レベル VLOW の値が 2.0V であることを確認します。
- 抵抗分圧器の比 (0.59) を得るための R1 および R2 の値を選択します。次の式、またはオンライン ツール「Voltage Divider Calculator」(分圧器カリキュレータ) を使用します。
次の式を使用する場合、R2 に MΩ 範囲の値を選択して、R1 を計算します。この例では、R2 に値 1.54M が選択されています。
- 抵抗分圧器を通過する電流が、コンパレータの入力バイアス電流の最低でも 100 倍であることを確認します。抵抗の値をさらに大きくして、抵抗分圧器の誤差を大きく増やすことなく、回路の消費電力を最小化することもできます。
- 低電圧アラート信号がデアサートされる (論理 High 値に戻る) バッテリ電圧 VHIGH を計算します。バッテリ電圧が 2.0V レベルより低下したとき、または最初の起動時に上昇するとき、コンパレータ入力は、出力が論理 High に復帰する正方向入力スレッショルド電圧である VIT+ を超える必要があります。TLV4021R1 データシートでは、VIT+ は 1.20V です。
設計シミュレーション
DC シミュレーション結果
過渡シミュレーション結果
設計で使用されているコンパレータ
TLV4021R1 |
VS |
1.6V~5.5V |
VinCM |
レール ツー レール |
VOUT |
オープン ドレイン |
内蔵基準電圧 |
動作温度範囲にわたって 1.2V ±1% |
ヒステリシス |
20 mV |
IQ |
2.5µA |
tPD(HL) |
450ns |
TLV4021R1 |
設計の代替コンパレータ
|
TLV4041R1 |
TLV3011 |
VS |
1.6V~5.5V |
1.8V~5.5V |
VinCM |
レール ツー レール |
レール ツー レール |
VOUT |
プッシュ プル |
オープン ドレイン |
内蔵基準電圧 |
動作温度範囲にわたって 1.2V ±1% |
室温で 1.242V ±1% |
ヒステリシス |
20 mV |
NA |
IQ |
2.5µA |
2.8µA |
tPD(HL) |
450ns |
6µs |
|
TLV4041R1 |
TLV3011 |