JAJT315A June 2019 – March 2024 TCAN11623-Q1 , TCAN4550-Q1 , TLIN1431-Q1
システム ベース チップ (SBC) の最もシンプルな形態は、コントローラ エリア ネットワーク (CAN) またはローカル相互接続ネットワーク (LIN) のトランシーバをパワー マネージメントの素子と統合した半導体です。パワー マネージメントの素子としては、低ドロップアウト レギュレータ (LDO)、DC/DC コンバータ、あるいはその両方を使用できます。
SBC は素子やトランシーバのフットプリントを低減するのに役立ちます。特に、アプリケーションが追加の電力を必要とする場合やレイアウトに制約がある場合に効果的です。テキサス・インスツルメンの SBC は、システムにおけるエネルギー消費も削減できるため、バッテリ寿命の延長と消費電力の低減に貢献します。
SBC について掘り下げる前に、CAN と LIN のトランシーバについて確認しておきましょう。どちらのトランシーバも、それぞれのテクノロジー向けに、ケーブルによるさまざまなノード間の通信を実現するバス インターフェイスです。トランシーバはプロセッサ A からシングルエンドの情報を受け取り、それを差動信号に変換してケーブルで伝送します。受信トランシーバは差動信号を受け取り、それをシングルエンドに戻してから、さらなる処理のためにプロセッサ B に送信します。
CAN と LIN の基本的なトランシーバは市販されていますが、それらの保護機能を強化しつつ、設計の複雑さ、スペース、コストを低減することが可能です。多くの場合、これらの機能には、バス フォルト保護や静電放電保護に加え、データをプロセッサとの間で 1.8V から 3.3V または 5V の入出力 (VIO とも呼ばれる) で送受信できる機能が含まれます。
車載システムや産業システムの設計者は、SBC の高いレベルの統合と信頼性の向上により、CAN または LIN と電圧レギュレータを使用するあらゆるシステムについて、設計の軽量化と低コスト化が可能になります。
SBC は、統合レベルに基づいて主に 3 つのカテゴリに分類されます。
テキサス・インスツルメンツの SBC のいくつかの例について、それぞれの主な特長と利点を確認してみましょう。
TCAN11623-Q1 の汎用 SBC は CAN FD トランシーバ、ウェイク ピン、3V、70mA の LDO 出力を内蔵しており、TCAN11625-Q1 は 5V、100mA の LDO 出力をサポートしています。外部の小さい負荷には LDO で電力を供給し、ノードについてはウェイク ピンを使用して外付け部品でウェイクアップできます。TCAN11623-Q1 ファミリのデバイスは自己給電機能を備えているため、SBC に電力を供給するための追加の電圧レールが不要です。
TLIN1431-Q1 のミッドレベル SBC には、LIN トランシーバ、ウォッチドッグ タイマ、ハイサイド スイッチ、ウェイク ピン、125mA の LDO が搭載されています。また、TLIN1431-Q1 はチャネル拡張もサポートしているため、プロセッサから別の汎用入出力を使用せずに、外付けの LIN または CAN FD トランシーバを追加および制御することでシステムを柔軟に拡張できます。図 2 は、TCAN11623-Q1 を含む TLIN1431-Q1 の基本ブロック図です。チャネル拡張機能により、設計者は CAN チャネルを追加し、システムにおける小さい負荷用に別の電源を用意できます。
TCAN4550-Q1 のアドバンスト SBC は、CAN FD コントローラと CAN FD トランシーバの両方を 1 つのパッケージに統合したものです。ローカル ウェイク ピン、ウォッチドッグ タイマ、70mA の LDO 出力を備えています。TCAN4550-Q1 は、CAN インターフェイスを備えていないホストに CAN 通信を追加し、CAN チャネルの追加を可能にします。また、Classical CAN と CAN FD のギャップを埋める役割も果たします。図 3 に、TCAN4550-Q1 の基本的なブロック図と SPI 経由でのホスト プロセッサへの接続を示します。
TCAN4550-Q1 は、1.8V、3.3V、5V をサポートする VIO、ウェイク、インヒビット、通常は利用できないプロセッサ機能をイネーブルにできるタイムアウト ウォッチドッグなどの追加機能を備えています。
テキサス・インスツルメンツの CAN と LIN の SBC は、基板面積、システム コスト、電力効率が最適化されています。また、テキサス・インスツルメンツでは、設計者が機能安全への準拠を達成し、自動車 OEM メーカーの排出量や製造に関する要件を満たすことができるように、各種ドキュメントを提供しています。
バス通信インターフェイスを必要とし、システムの他の部品に電力を供給する必要があるあらゆるシステムにとって、SBC は最適なソリューションとなります。SBC は、トランシーバのタイプ、出力電圧、電流ソースに基づいて、さまざまなオプションが提供されています。テキサス・インスツルメンツでは、車載および産業用アプリケーションの幅広い要件を満たす SBC のアーキテクチャを定義しています。設計者は、それぞれのシステムのニーズに基づいて SBC を構成できます。
SBC は、CAN と LIN の規格を活用して市場のニーズに基づいて進化し、絶えず変化する市場環境のニーズに対応します。