JAJA635B March   2018  – October 2024 LPV821 , OPA2333 , OPA333 , TLV2333 , TLV3011 , TLV3011-Q1 , TLV3011B , TLV3011B-Q1 , TLV3012 , TLV3012-Q1 , TLV3012B , TLV3012B-Q1 , TLV333 , TLV7011 , TLV7021 , TLV7031 , TLV7041

 

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  2.   2
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  4.   改訂履歴

設計目標

過電流レベル 電源
IIN (最小値) IIN (最大値) V+ V-
-0.1A 1.0A 3.3V 0V

設計の説明

この低消費電力のローサイド双方向電流センシング方法は、2 個のナノパワー ゼロドリフト アンプ (LPV821) と、高精度の電圧リファレンスを内蔵した 1 個のマイクロパワー コンパレータ (TLV3012) を使用しています。この回路は、充電電流とシステム電流を正確に監視する必要があるバッテリ駆動デバイスに適しています。U1 と U2 のゲインは別々に設定できます。

アプリケーション回路に示すように、LPV821 アンプは、互いに逆方向の電流を増幅するために RSENSE の両端に位相差を設けて接続されています。アンプ U1 はシステム (負の) 電流を線形増幅し、アンプ U2 は充電 (正の) 電流を線形増幅します。U2 が正の電流を監視するとき、U1 は出力をグランドへと駆動します。同様に、U1 が負の電流を監視するとき、U2 は出力をグランドへと駆動します。U1 または U2 のいずれかがグランド基準を提供する一方、アンプ出力は抵抗 R7 および R8 により OR 接続されてコンパレータが監視する 1 つの出力電圧を生成します。

レギュレーション済みの電源電圧またはリファレンス電圧がすでにシステム内で使用できる場合、TLV3012 を TLV7031 などのナノパワー コンパレータに置き換えることができます。さらに、充電電流とシステム電流の大きさが等しい場合、アンプ U1 および U2 のゲインを互いに同じに設定できます。アンプのゲインを同じにしても、アンプの出力を OR 接続することで、充電とシステムの両方の電流の過電流条件を 1 つのコンパレータで検出できます。

デザイン ノート

  1. エラーを最小化するため、高精度の抵抗を利用し、R1 = R3、R2 = R4、R7 = R8 に設定します。
  2. 最大電流での電圧降下が最も小さくなり、最小電流レベルを監視するときのアンプのオフセット誤差が小さくなるように、RSENSE を選択します。
  3. 充電とシステムの電流が臨界値に達したときに COMP_IN が 1.242V に達するようにアンプのゲインを選択し、アンプが線形範囲外で動作することを防止します。

設計手順

  1. R1 = R3、R2 = R4、R7 = R8 として伝達方程式を求めます。

    反転経路

    COMP_IN = - I G 1 × R SENSE × - R 6 R 5 × R 8 R 7 + R 8

    非反転経路

    COMP_IN = I G 1 × R SENSE × R 4 R 3   +   R 4 × R 1   +   R 2 R 1 × R 7 R 7 + R 8
  2. 充電電流が 1A、最小システム電流が 10mA の場合、最大電圧降下 (VSENSE) が 100mV であると仮定して、SENSE 抵抗の値を選択します。
    R SENSE ( max ) = V SENSE   ( max ) I G 1   ( max ) = 100   mV 1 A = 100   with   I G 1 ( min ) = 10 mA ,   V SENSE = 10 mA × 100 = 1   mV > > VOS ( max ) = 10 µ V
  3. COMP_IN を生成するための OR 抵抗 R7 および R8 を選択します。
    1. R7 = R8 であるため、コンパレータの入力には等しい減衰係数 2 が適用されます。アンプの出力からの消費電流を最小化するため、大きな値を選択します。
    2. COMP_IN の電圧を検証する場合、特に注意が必要です。R7 と R8 は大きなインピーダンス値であるため、オシロスコープのプローブの入力インピーダンスやデジタル電圧計の入力が測定電圧に誤差を生じさせる可能性があります。一般的なプローブや電圧計の入力インピーダンスは 10MΩ であり、これによって測定信号が減衰します。
      R 7 = R 8 = 2 . 49 , COMP_IN = ( VOUT_Inv   or   VOUT_NonInv ) ÷ 2
  4. 電流が臨界値に達したとき COMP_IN が 1.242V になるように、アンプのゲインを選択します。
    Gain = 2 × C o m p a r a t o r   R E F R S E N S E × I G 1   ( m a x )
    Gain   ( I n v ) = 2 × 1 . 242 0 . 1 ×( -0 . 1) = (-R 6) R 5 -249 V V Gain   ( N o n I n v ) = 2 × 1 . 242 0 . 1 × 1 . 0 = R 4 R 3 + R 4 × R 1 + R 2 R 1 24.9 V V
R 1 = R 3 = 100  (Standard Value) R 5 = 10  (Standard Value) R 2 = R 4 = R 6 = 2 . 49  (Standard Value)

設計シミュレーション

DC シミュレーションの結果 (VOUT_Inv)

過渡シミュレーションの結果 (VOUT_Inv)

DC シミュレーションの結果 (VOUT_NonInv)

過渡シミュレーションの結果 (VOUT_NonInv)

技術資料とブログの参考資料

テキサス・インスツルメンツ、『携帯電話のバッテリ監視でナノパワー ゼロ ドリフト アンプを使用する利点』、アプリケーション ノート

テキサス・インスツルメンツ、『中立状態のないライト スイッチでの電流センシング』、テクノロジー ブリーフ

テキサス・インスツルメンツ、『GPIO Pins Power Signal Chain in Personal Electronics Running on Li-Ion Batteries』、アプリケーション ブリーフ (英語)

設計に使用されているオペアンプ

LPV821
VS 1.7V~3.6V
入力 VCM レール ツー レール
Vout レール ツー レール
Vos 1.5µV
Vos ドリフト 20nV/°C
Iq 650nA/Ch
Ib 7pA
UGBW 8 kHz
チャネル数 1
LPV821

設計の代替オペアンプ

TLVx333
VS 1.8V~5.5V
入力 VCM レール ツー レール
Vout レール ツー レール
Vos 2µV
Vos ドリフト 20nV/°C
Iq 17µA/Ch
Ib 70pA
UGBW 350 kHz
チャネル数 1、2、4
TLV333