JAJA710A June 2020 – November 2022 LM5156 , LM5156-Q1 , LM51561 , LM51561-Q1 , LM51561H , LM5156H , LM5156H-Q1 , LM5157-Q1 , LM51571-Q1 , LMR43610 , LMR43610-Q1 , LMR43620 , LMR43620-Q1
スペクトラム拡散を最適化するとき、最も重要な係数は変調インデックス m で、ΔfC/fm と定義されます [3]。一般に、この数値が大きいほど、基本周波数でのエネルギーが低減されます。ΔfC を増やすと、エネルギーが追加の周波数に拡散します。また、fm を減らすと、カーソン帯域幅である 2ΔfC 内に追加の周波数成分が発生するため、基本周波数のエネルギーが減少します [1]。ただし、ΔfC と fm はいずれも制限があります。ΔfC の場合、時間領域と周波数領域の両方に制約があります。時間領域では、ΔfC が大きいと出力リップルが増加し、インダクタの電流リップルも大きく変動する可能性があります。周波数領域では、ΔfC が大きすぎると、望ましくない帯域にエネルギーが拡散され始めることがあります。
数学的な観点では、fm を減らすと、エネルギーは常に削減されます。しかし、RBW フィルタの時間ベースの効果には別の制約があります。RBW フィルタにはセトリング・タイムがあり、その長さはフィルタの帯域幅に反比例します [3]。このフィルタが安定していれば、スペクトラム・アナライザのピーク検出器は、変調されていない信号と等しいエネルギーを検出します。一方、RBW フィルタのセトリング・タイムと比べて非常に高速な変調を行うと、フィルタが反応できないため、ピーク・エネルギーは減衰しません。これは、変調が有用になるには、フィルタの帯域幅の外で十分な時間が経過する必要があるということです。この概念を、図 2-3 示します。この図では、RBW フィルタに入るときと出るときの両方に、有限のセトリング・タイムが存在することが示されています。理論的な観点では fm を小さくする方が望ましいのですが、この制約が存在するため、通常は fm を RBW とほぼ等しい値にします。スペクトラム拡散を最適化するには、理論的な観点と時間ベースのフィルタの観点の両方で変調周波数を分析することが重要です。
システムの周波数 (fC) が減少すると、スペクトラム拡散 / ディザリングによって実現できる最高の性能が低下することに注意してください。これは単に、低い周波数では ΔfC がシステムの制約によって制限され、スペクトラム拡散のピーク低減は 10log(RBW/2ΔfC) を上回れないためです [3]。