JAJT334 July 2024 TPSM81033 , TPSM82813 , TPSM82816 , TPSM828303 , TPSM82866A , TPSM82866C
Chris Glaser
従来のフォーム ファクタと消費電力の枠内で、次世代光学モジュールのデータ レートを 2 倍にすることをお考えですか。または、マシン ビジョン システムにセンサをもう 1 個詰め込むように依頼されているのに、すでにボード面積が不足したり、消費電力が多すぎたりする状況ですか。
パワー モジュールで、前世代製品に比べてわずかな改善だけでなく、さらに優れた機能が必要な場合には、テキサス・インスツルメンツ独自の新しい磁気パッケージ (MagPack™) テクノロジーを活用すれば、電力密度、効率、放熱性能を向上できます。 産業用、エンタープライズ、通信の各アプリケーションで使いやすさと電磁干渉 (EMI) 低減を実現します。
4 つの主な利点を紹介します。
MagPack テクノロジーは、電力密度の向上とソリューション全体の小型化に役立ちます。実際に、6A の TPSM82866A、TPSM82866C、TPSM82816 は、いずれも、市販されている他のどの 6A パワー モジュールより小さいサイズを実現しています。
電力密度は、単位面積 (平方ミリメートル) あたりの出力電流として測定されます。2.3mm x 3mm の TPSM82866A および TPSM82866C の面積は、どちらも 6.9mm2 です。したがって、面積あたりの電力密度は、およそ 1A/mm2 (正確には 0.87A/mm2) になります。面積 1mm2 あたり 1A 近い電流を供給するというのは、特に 0603 (インチ表記。すなわち mm 表記では 1608) の部品が基板面積 1.28mm2 を占有することを考えると、非常に優れたことです 。この評価基板 (EVM) の標準的なプリント基板 (PCB) 設計は、簡単な設計ルールと大きい受動部品を使用しており、包括的な 6A 電源として 28mm2 のトータル ソリューション サイズを実現しています。
追加機能として、調整可能なソフト スタート、調整可能なスイッチング周波数、クロック同期、調整可能な制御ループ補償などが必要な場合、TPSM82816 は、もう少し大きい 2.5mm x 3mm のパッケージでこれらの機能を備えています。追加の機能には追加のピンと受動部品が必要なので、ソリューション全体のサイズは 46mm2 に増加します。これでも 6A 電源としては依然として非常に小さく、0.8A/mm2 の電力密度を実現します。図 1 および 図 2 に、両方のデバイスのトータル ソリューション サイズを示します。
サイズの縮小と電力密度の向上を実現したら、その次には、小型パッケージから熱を効果的に除去し、パワー モジュールの高信頼性動作を維持することが不可欠です。MagPack テクノロジーで使用されているインダクタは、DC 損失および AC 損失を低減するために、シリコン ダイにマッチングされています。これら 2 つの回路素子を、高性能で熱伝導率の高い MagPack パッケージと組み合わせることで、パワー モジュールの発熱を効率的に除去することができます。
このシリコンでは、最適化されたインダクタとパッケージが採用され、高効率と小さい温度上昇を実現しています。図 3 に TPSM82866A の効率を示し、図 4 に安全動作領域 (SOA) を示します。このように SOA 曲線が高いため、より高い周囲温度で信頼性の高い動作を実現し、長寿命アプリケーションでディレーティングを低減できます。
MagPack テクノロジーを採用したデバイスは、インダクタを内蔵しています。インダクタは通常、電源設計において、選定と調達が最も困難な部品です。また、そのサイズ、高さ、他の回路との干渉を考えると、PCB 上の配置と配線が非常に困難な要素の 1 つでもあります。インダクタを統合したパワー モジュールはこれらの課題を解消し、MagPack テクノロジーで使用されているインダクタはこれらの課題をさらに緩和します。MagPack テクノロジーは、高効率と優れた放熱性能を実現するほか、すべての電源設計のもう 1 つの懸案事項も緩和します。それは EMI です。
MagPack テクノロジーを採用したパワー モジュールは、シールド付きです。これは単なるシールド付きインダクタではありません。ダイ全体、インダクタ、スイッチング ノードなどすべてがシールド付きパッケージの中に収容されています。さらに、MagPack テクノロジーを採用したパワー モジュールのサイズと、パッケージ内の最適化された配線により、パワー モジュールとシステムの両方で、ノイズの多い信号をより短く、より小さくまとまった配線にすることができます。図 5 と、図 6 は、TPSM82866A で MagPack テクノロジーを使用しない場合と、使用した場合について、予備的に測定された放射エミッションを比較するものです。ピーク放射は、水平偏波で 2dB、垂直偏波で 8 dB 低減しています。
お客様がどのような電力変換システムに取り組んでいる場合であっても、MagPack テクノロジーによるテキサス・インスツルメンツの新しいパワー モジュールを採用すれば、小型化と高効率化を実現すると同時に、放熱能力と使いやすさを向上させることができます。各ポイント オブ ロード (PoL) 電源のサイズを 20% 縮小することを想像してみてください。この追加のボード面積で何を実現できるでしょうか。もしかすると、データ レートの高速化やチャネル数の拡大、あるいは製品へ機能やセンサを追加できる可能性があります。MagPack テクノロジーは、より優れたパワー モジュールを提供します。これにより、お客様は、より良い製品を生み出すことができます。MagPack テクノロジーによるパワー モジュールを活用して、お客様はどのような設計上の課題を解決できるでしょうか。
デバイス | 入力電圧範囲 | 説明 | MagPack パッケージ | 評価基板 |
---|---|---|---|---|
TPSM82866A | 2.4V~5.5V | インダクタ内蔵、13 種類の固定 V OUT オプションを備えた、業界最小の 6A 降圧モジュール | 2.3mm x 3mm | TPSM82866AA0PEVM |
TPSM82866C | 2.4V~5.5V | インダクタおよび I2C インターフェイスを内蔵した、業界最小の 6A 降圧モジュール | 2.3mm x 3mm | TPSM82866CA3PEVM |
TPSM828303 | 2.25V~5.5V | インダクタおよびノイズ フィルタリング コンデンサを内蔵した、3A 降圧モジュール | 2.5mm x 2.6mm | TPSM828303PEVM-058 |
TPSM82816 | 2.7V~6V | 調整可能な周波数と同期機能を備えた、業界最小の 6A 降圧モジュール | 2.5mm x 3mm | TPSM82816PEVM-062 |
TPSM82813 | 2.75V~6V | 調整可能な周波数と同期機能を備えた、3A 降圧モジュール | 2.5mm x 3mm | TPSM82813PEVM-062 |
TPSM81033 | 1.8V~5.5V | パワー グッド、出力放電、PFM/PWM 制御の各機能搭載、5.5A バレー電流制限昇圧モジュール | 2.5mm x 2.6mm | TPSM81033EVM-035 |
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