JAJA784 December 2022 AMC1202 , AMC1302 , AMC1306M05 , AMC22C11 , AMC22C12 , AMC23C10 , AMC23C11 , AMC23C12 , AMC23C14 , AMC23C15 , AMC3302 , AMC3306M05
AC/DC の安全なシャットダウンに必要な最大レイテンシを評価するため、以下の条件を適用してシステム シミュレーションを実行しました。
グリッドで短絡が発生してもコンバータはスイッチングしているため、電流は制御されません。故障は突然発生するため、MCU がデューティ サイクルを更新して修正するための十分な時間がありません。PWM の更新は通常、固定周波数 (この例では 70kHz または 14.2μs ごと) で行われます。シングルおよびダブル更新によるリフレッシュ手法を用いれば、MCU の最小応答時間は 1/fs または 1/2fs になります。この時間内に、インダクタの電流がパワー スイッチの短絡電流定格を超える可能性があります。
図 2-11 に、AC/DC コンバータの電圧と電流を示します。図 2-11 は 0ms~19ms の時間枠で、コンバータは、グリッド電圧が 400VRMS に等しく、電流が DC から AC に転送される公称条件で動作していることを示しています。19ms で、位相電圧を公称値の 10% まで落として、短絡イベントがシミュレートされています。図 2-12 に示すように、グリッドの故障と同時に、グリッド電圧とスイッチング段からの印加電圧との間の電圧差により、スイッチング ノードの電流が増加し始めます。
最初に電流が直線的に上昇し始めるのは、コアが飽和しておらず、インダクタンスがほぼ一定であるため、固定の di/dt に従っているためです。
ここで、
コアの飽和電流に達すると、インダクタンス値が大幅に低下し、電流が急激に増加します。L3 相の実際の電流が 30A (過電流スレッショルド) に達した時点で、MCU はそれより大きい電流を検出できず、電流が 60A を超えるレベルに達する前にシャットダウンするため、MCU はできるだけ早く過電流を検出できなければなりません。シミュレーション結果によれば、電流が臨界値に達するまでに 4μs かかります。このタイミングに達したら、図 2-13 に示すように、PWM 信号をオフにします。
結論として、パワー スイッチの損傷を避けるために、4µs 以内にシステムをオフにする必要があります。電流センシングのレイテンシは、MCU やドライバ段のシャットダウンのレイテンシと合わせて考慮してください。MCU やドライバ段のレイテンシ時間の標準値に基づくと、電流センサによって最大 3.5µs のレイテンシが確保されなければなりません。