JAJY121B September 2021 – April 2023 BQ25125 , LM5123-Q1 , LMR43610 , LMR43610-Q1 , LMR43620 , LMR43620-Q1 , TPS22916 , TPS3840 , TPS62840 , TPS63900 , TPS7A02
電源の精度は多くの場合、その過渡応答によって制限されます。その特性を設定するのは、電源の最大電圧降下、セトリング・タイム、電圧誤差の積分です (図 5)。
応答時間は、負荷電流または電源電圧に突然の変化が生じた後、パワー・デバイスが目標の出力電圧へのレギュレーションにどれほど迅速に復帰するかを表す測定値です。この応答時間は、3 つの段で構成されています。変化に反応するまでの遅延時間、低下またはオーバーシュートから復帰するための回復時間、およびセトリング・タイムです。
低静止電流 (IQ) デバイスには、応答時間が長いという弱みがあります。内部の寄生コンデンサを新しい動作点 (電圧) まで比較的小さい電流で充電する必要があるためです。ワースト・ケースは通常、無負荷から、許容される最大負荷電流までのステップ変動 (電圧上昇) です。このような状況では必然的に、非アクティブになっていた回路または電力を小さくしていた回路を再度アクティブにすることになるので、追加の遅延が発生します。
より重要なこととして、セトリング・タイム自体もバイアス低下状態から不利な影響を受けます。従来の差動入力段を使用する場合、バイアス電流の減少に伴ってゲインは直線的に低下します。その結果、帯域幅は狭くなり、セトリング・タイムが長くなります。
性能指標 (figures of merit、FOM) を計算することで、設計者は電源レギュレータの全体的な性能を判定しやすくなります。式 3 は、過渡応答の低下 FOM (性能指標) を計算するために、静止電流 (IQ) を正規化します。正規化に使用するのは、コンバータの最大出力電流、負荷電流のステップ (ΔIO)、それによる電圧の低下 (ΔVO)、および出力コンデンサの静電容量 (CO) です。図 6 に、5V の昇降圧コンバータについて、年月の経過とともに FOM がどのように変化しているかを示します。FOM が小さいほど、レギュレータの特性は向上します。