JAJA794 May 2023 AMC1100 , AMC1106E05 , AMC1106M05 , AMC1200 , AMC1200-Q1 , AMC1202 , AMC1203 , AMC1204 , AMC1204-Q1 , AMC1210 , AMC1211-Q1 , AMC1300 , AMC1300B-Q1 , AMC1301 , AMC1301-Q1 , AMC1302 , AMC1302-Q1 , AMC1303E0510 , AMC1303E0520 , AMC1303E2510 , AMC1303E2520 , AMC1303M0510 , AMC1303M0520 , AMC1303M2510 , AMC1303M2520 , AMC1304L05 , AMC1304L05-Q1 , AMC1304L25 , AMC1304L25-Q1 , AMC1304M05 , AMC1304M05-Q1 , AMC1304M25 , AMC1304M25-Q1 , AMC1305L25 , AMC1305L25-Q1 , AMC1305M05 , AMC1305M05-Q1 , AMC1305M25 , AMC1305M25-Q1 , AMC1306E05 , AMC1306E25 , AMC1306M05 , AMC1306M05-Q1 , AMC1306M25 , AMC1306M25-Q1 , AMC1311 , AMC1311-Q1 , AMC1333M10 , AMC1336 , AMC1336-Q1 , AMC1350 , AMC1350-Q1 , AMC1351 , AMC1351-Q1 , AMC1400 , AMC1400-Q1 , AMC1411 , AMC1411-Q1 , AMC3301 , AMC3301-Q1 , AMC3302 , AMC3302-Q1 , AMC3306M05 , AMC3306M25 , AMC3311-Q1 , AMC3330 , AMC3330-Q1 , AMC3336 , AMC3336-Q1 , ISO121 , ISO122 , ISO124 , ISO224 , TLV6002 , TLV9002
低抵抗で高精度の直列抵抗をシャント抵抗と呼びます。ハイブリッド / 電気 / パワートレイン システム、EV 充電インフラ、モーター ドライブなどの車載および産業用高電圧アプリケーションにおいて、機能を実行する高電圧回路からデジタル回路を保護すると同時に、その大きさによって制御ループの帰還アルゴリズムを駆動する電流を測定するため、シャント抵抗はしばしば絶縁型データ コンバータと組み合わせて使われます。テキサス・インスツルメンツは、容量性絶縁バリアを採用した絶縁型アンプ、絶縁型 ADC、絶縁型コンパレータの幅広い製品ラインアップを提供しており、絶縁型データ変換に関するお客様のニーズへの対応をお手伝いします。テキサス・インスツルメンツの容量性絶縁バリアは、しばしば 100 年以上にわたる動作を可能にします。テキサス・インスツルメンツの容量性絶縁バリアの詳細については、絶縁のリンクをご覧ください。
『絶縁型シャントと閉ループによる電流検出の精度の比較』アプリケーション ブリーフに示すように、シャント ベースの電流検出を使用すると、業界をリードする精度、磁気干渉に対する耐性、長期安定性、優れた直線性、低オフセット ドリフト、複数のプロジェクトに対応できる拡張性、低価格を実現できます。シャントには、シャーシ マウント型、表面実装型、プリント基板 (PCB) にスルーホール接続するためのリード線付きがあります。選択肢として多くのシャント抵抗が入手できますが、特定のアプリケーションのために適切なシャント抵抗を選択することは必ずしも簡単ではありません。このアプリケーション ブリーフでは、絶縁型電流検出にしばしば使用されるシャント抵抗とそのトレードオフについて説明します。
シャント抵抗を選択するための最初の一歩は、『絶縁型電流検出の設計上の考慮事項』の記事で説明されているように、連続および最大電流と、絶縁型データ コンバータの線形フルスケール入力電圧範囲に基づいて、必要な抵抗値と許容損失の定格を計算することです。ただし、自己発熱が原因で、シャント抵抗の最大温度が、データシートに記載されている定格を超えないように注意する必要があります。通常の条件では、設計で十分な放熱が可能であると仮定しても、シャント抵抗は定格電流の 2/3 までしか連続的に動作することはできません。放熱手法はアプリケーションによって異なり、複数の方法で実現できます。たとえば、電流を流す PCB パターンまたは主要導体の重量またはサイズを増やすこと、ヒートシンク、強制空冷用ファンなどです。アプリケーションで十分な放熱が許容されない場合、シャント抵抗は定格電流の最低 1/4 までしか動作できない場合があります。この電流を超える場合、選択するシャント抵抗の抵抗値をさらに減らす、または許容損失定格を増やすことが必要な場合があります。
表面実装型抵抗の場合、自己発熱の約 90% が PCB パターンへの伝熱によって放散されます。図 1 は、電流を流す PCB パターンのサイズを大きくすることが効果的な放熱手法であることを示しています。表面実装型金属素子 1mΩ の 2512 (5W) および 3920 (8W) パッケージのシャント抵抗の、自然空冷と強制空冷での放熱特性のシミュレーション結果が示されています。その結果は、シャント定格電流 (%) と PCB サイズ (mm2) との関係として示され、図 1 にシャント抵抗が 170℃で動作しているときのデータを示します。
アプリケーションでのシャント抵抗の特性を検証するには、最大公称動作時のシャント抵抗の端子温度を測定し、シャント抵抗のデータシートの電力ディレーティング曲線を参照して、動作が規定の範囲内であることを確認します。これにより、抵抗性材料が規定された最大温度を超えないことだけでなく、規定された温度ドリフト係数が有効であることも確保できます。
出力電圧と許容損失の期待値を計算する際は、過渡および短絡電流の大きさを考慮します。データシートに規定されたシャント抵抗の短期的過負荷許容損失仕様は、違反してはなりません。なぜなら、シャント抵抗の物理的特性が永続的に変化し、またはシャント抵抗が断線する危険性があるためです。また、データシートの「絶対最大定格」表に示されたいずれの条件も、絶縁型データ コンバータの絶対最大入力電圧仕様に違反しないことを確認します。テキサス・インスツルメンツの絶縁型データ コンバータの入力ピンは通常、ハイサイド グランドを基準として、-6V と「ハイサイド電源電圧 + 500mV」の間の電圧に耐えることができ、損傷する危険はまったくありません。
抵抗および許容損失要件の概算値を計算した後、表 1 にまとめたように、追加の選択基準を考慮する必要があります。
技術 | 金属素子 | 金属箔 | 金属素子 | ワイヤ巻線 |
---|---|---|---|---|
取付方法 | 表面実装 | 表面実装 | シャーシ マウント | シャーシ マウントまたはリード線付き |
抵抗の範囲 (Ω) | 0.1m~1 | 0.5m~0.7 | 25µ~0.1 | R > 5m |
消費電力の範囲 (W) | 1/16~20 | 1/80~10 | ¼~100 | ½~1k |
許容誤差の範囲 (%) | 0.1~5 | 0.01~10 | 0.1~1 | 0.1~10 |
ドリフトの範囲 (ppm/℃) | 15~750 | 0.2~1k | 20~100 | 20~400 |
パルス能力 (℃) | 最大 275 | 最大 225 | 最大 175 | 275 またはそれ以上 |
コスト | + | ++ | +++ | +++/+ |
絶縁型電流検出において、表面実装型金属素子シャント抵抗は最も一般的な選択肢です。なぜなら、大きい消費電力への対応、まずまずの初期精度、低コストが実現できるためです。Bourns® 社の CSS2H、Vishay® 社の WSLP などのシャント抵抗シリーズは、絶縁型電流検出に十分な機能を備えています。金属素子が実現できる特性よりも高い初期精度または小さい温度ドリフトを必要とするアプリケーションでは、Ohmite® 社の FC4L などの金属箔を検討できます。ただし、金属素子に比べて、通常は許容損失定格が小さく、コスト高です。TI プレシジョン ラボの電流検出アンプとシャント抵抗のレイアウトのビデオで説明しているように、表面実装型抵抗のレイアウト上の考慮事項には、絶縁型データ コンバータに近付けて配置することと、長さがそろった短い配線で検出入力に接続することが含まれます。また、TI E2E™ ブログで説明しているように、低抵抗 (< 500µΩ) の表面実装型抵抗の PCB パッドを設計する際には注意を払います。最後に、PCB メーカーと提携する際には、適切なはんだ付けリフロー プロセスが確立されていることを確認します。なぜなら、不適切な実装はパッドのはんだ接続抵抗の増加、動作中の放熱の不均衡、断線の原因となり、初期不良率が上がる可能性があるためです。
シャーシ マウント型抵抗は、直列導体実装が可能であり、自身が発生させた熱を PCB に放散しないため、大電流を必要とするアプリケーションでよく使用されます。シャーシ マウント型金属素子抵抗は、最小 25µΩ の抵抗値、最大 100W の消費電力に対応できます。一方、シャーシ マウント型巻線抵抗は、パルス電力能力が非常に優れています。取り付け時には、主要接続部のボルト、リベット、圧着接合部が過剰または低トルクにならないように特に注意します。なぜなら、主要導体ラインに抵抗が追加され、不必要または不均衡な電力損失およびアナログ誤差が発生する可能性があるためです。追加の指針については、シャーシ マウント型抵抗のメーカーにお問い合わせください。
最高の精度を必要とするアプリケーションでは、主要電流を流すリード線とは独立した差動検出用接続 (ケルビン接続) を備えた 4 端子型シャント抵抗を検討します。ケルビン接続は、検出素子のリード線の温度ドリフトが小さいため、2 端子型シャントに比べて高い精度を実現できます。ただし、コストは一般的に高く、不適切な実装により主要電流が検出接続を流れ、絶縁型データ コンバータを損傷させる可能性があるという、追加のリスクが存在します。大部分のシャント抵抗は、温度に対する抵抗値変化が比較的予測可能であるため、シャント抵抗の局所的な温度測定を行い、較正表を定期的に更新することもできます。それにより、周囲温度の変化、または電力消費による自己発熱にもかかわらず、非常に高い精度を実現できます。